[匂い日記] 正月の匂い(1)
お正月用の花。菊のつややかな匂いの奥に松葉の澄んだ匂い。
丸の内ホテルにて。門松に百合。これって、匂い的にはちょっとつりあいがとれてないけど、ホテルのロビーはうっとりした匂いに包まれる。
最近気づいたのだけど、日本のレストランやバーには百合が多用されているようだ。その匂いは決して淡白なものではないから、肝心の食事の味を落としてしまうようにも思う。なのでヨーロッパでは百合はそれほど使われない。日本人は百合が好きなのだろうか。
年末30日の夕方、セール中のスーパーのあまりの混みように、思わずシャッターを切る。たぶん溢れかえるモノと、我れ先にとセール品に飛びつくヒトに酔ったのだ。わたしの鼻もシャットアウトしてしまったにちがいない。こんな面食らった体験ができるのも、アジアならではかもしれない。
今年は初めてお屠蘇を作った。「屠蘇散」というティー・バッグのようなハーブ・ミックスを、一晩清酒に漬けてフレーバーを出したもの。桂皮(シナモン)と丁字(クローブ)がそのフレーバーの中心なのだが、これがまたオランダの聖ニコラス祭やクリスマスを想起させる。やはりシナモン&クローブ風味の「bishops herbs」というクリスマス・ミサ用のハーブ・ミックスがあって、これを温めたワインに漬けて浸出させるのだ。同じような時期に、同じようなハーブを、同じように使う習慣がヨーロッパにも日本にもあるというのはおもしろい。
鏡餅には庭の木からもぎたての蜜柑を。手にも蜜柑の匂いが染み付く。「なんでミカン載せるの?」「なんで1個だけ? もっと載せようよ。」とムスコ。あのね、積み木じゃないんだよ。
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