2012/02/20

嗅覚を磨く秘訣 (1) ヨガ的な呼吸


今日は、MAKI流の「嗅覚を磨く秘訣」公開いたしましょう。



わたしたちは誰もが、生きる刹那刹那、息をしています。
「生き」るということは、「息」をする、ということ。

息を吸うと、その空気は鼻腔を必ず通ります。
すなわち、嗅覚を通ります。

視覚は、目を閉じれば休むことができますが、
嗅覚は閉じるわけにいきません。
生きている以上は、
嫌でも息がどんどん入って来るからです。
それだけ生存に直結した感覚器官ともいえます。

呼吸が健康に大きな影響を与えることはよく知られていますが、
じつは嗅覚の働きにも影響します。
そんなこと言っているのは私くらいなものかもしれませんが(^^)、
それに気づくことができたのは、
そもそも自分自身が鼻(蓄膿症)と気管支(喘息)を患ったからかも。

そもそも呼吸の大切さは、ヨガで初めて知りました。
そのため、ヨガと、嗅覚を使う仕事は、
私にとっては車の両輪。

ヨガにはいろいろな種類がありますが、
呼吸を意識しながらさまざまなアサナ(ポーズ)をとることで、
体のしなやかさと強さを鍛えるものを、ハタ・ヨガといいます。
続けると、呼吸が静かになり、ゆったりしたものになります。
それは、「匂いを嗅ぎやすい呼吸の方法」にかなり近い状態だと思います。

調香師もよく、香水を嗅ぐときに、
静かにゆっくりと吸い入れます。
ここでポイントとなるのは吸気のボリュームで、
吸い入れる空気量は決して多くないのです。
逆に、いかに少なく、がコツ。
意外ですよね?
頑張っていっぱい吸い入れると、逆に酸欠になってしまうし、
それだけ揮発物質を体内に取り入れるので、
疲れてしまいます。

「静かでゆっくりで、ボリュームは少なく」がコツ。
呼吸が荒いと、強く太い吸気になり、吸い入れるボリュームは乗数的に多くなってしましいます。
禅僧やヨガの達人は、一見「呼吸していないんじゃないか」と思われるような
理想的な呼吸をしていますよね。

さて。この理想的な状態を保ちながら街を歩いてみましょう。
普通の人は禅僧のようにはいきませんので、イメージだけでも。
細〜くゆったりと、息を吸い入れて、吐いてください。
息をビジュアライズしてみるのもおすすめ。
たとえば、煙草の煙が「たゆたう」イメージで。
空気が円をくるくると描くイメージで吸って、吐きます。
吸うときはとくに、空気を鼻腔でダンスさせて、繊毛に絡ませて・・・。
まちがっても、苛ついた人が煙草を吸ってるときの、
「フゥーーー!!!」っていう強い息は、イメージしないでくださいね(^^)

そんなふうに吸って、吐いて、歩くと、
ありとあらゆる微かな匂いを嗅ぐ事ができますよ。
それはもう、めまぐるしく次々とシーン展開する映画を見ているかのよう。

よほどのスポーツマンか健康な人で無い限り、
ちょっと歩くと口呼吸になってしまいがちですので、
そのときはテンポを下げて、
ソロソロっと、ノロノロっと、歩いてみてください。

「ゆったり、静かに、少なく」
その理想的な呼吸への近道が、ヨガを続けることなのです。

2012/02/19

馥郁たる麹の香り〜和蔵酒造見学〜

頃は大寒。友人に誘われ、千葉富津の和蔵酒造さんの酒造見学に行って来ました。

富津は房総半島の南の方、東京湾に面した岬です。 やや迷ってしまったので、海に面した駐車場で友人と缶コーヒーでひといき。 内海ならではのフェミニンな海の風と香りの美味しさが、肺の奥まで優しく染み渡ります。

 

着くとまず、あったかい甘酒で出迎えてくださいました。それがまた、とっても濃厚なクリームの味のする甘酒ではないですか。まさか、ミルクが入ってるってわけではないですよね・・・?

「しぼりたての酒粕を使ってますからね。」

すごい。日本酒と牛の乳のどこに共通点があるのかさっぱりわからないけど、とにかく美味しくて腹の奥が暖まったということで、さっそく蔵を見にいきましょう。


ここに、できあがったお酒が眠っていらっしゃいます。


神様はいたるところに。


黴(かび)もいたるところに・・・。

「こういう微生物が、お酒の味を決定してるんですよ。蔵を建て替えたら、お酒の味が変わってしまうほどです。」

なるほど、この蔵も古そうなので、お酒の味も深みがありそうです。(^^)


まずはお米がないと何も始まりませんね。もちろん、千葉産のお米を使っていらっしゃいます。


精米したところ。真珠みたい・・・。


それを水に浸します。分単位、秒単位で時間が決められています。化学のようですが、じつはその日の天候にも左右されるので、勘も必要とされます。ここでうまくいけば、後の行程での調整が必要なくなるため、とっても重要な行程なのだそうです。地味な作業に見えますが、この杜氏がとても肝心なところを担っているのです。


この方がその杜氏。米を蒸しています。これも、秒単位の作業。


蒸し上がった米を乾燥します。これも秒単位の作業。


酒母を造っているところです。



酒母は、糖をアルコールに変えます。「酒」の「母」と書くのですね。その通り、お酒のエッセンス(精)なのでしょうか、あらゆる芳香のアスペクトをここで嗅ぐことができます。主に、ピーチ、りんご、梨、グレープなどのエステル系。脂肪酸系、乳酸系も嗅ぐことができます。この部屋に一晩寝れたらどんなに幸せだろう・・・と思えるような香りに包まれます。

酒母がよい働きができるように、お米の炭水化物を糖に変えるのは、麹(こうじ)の役目です。


麹を造っている部屋の湿気と気温は、厳密に管理されています。外が寒くても、ここは常夏。



 
こちらは大吟醸(だったかしら?)の醪(もろみ)という状態。高級なお酒ですので、社長室ですね。もちろん味見させていただきました。美味しいのはもちろんですが、とてもたくさんの微生物のエネルギーをいただいた感じがしました。そりゃそうですよね、発酵中なんですから。


こちらも、醪(もろみ)の部屋。


できあがった醪を、こちらの機械で絞ります。大吟醸ばかりは吊るして絞るそうですが。ヒダヒダの中に、酒粕が残るわけです。


できあがったお酒のアルコール度数を計る、実験室。よく蒸留に使っている見慣れたスパイラル冷却器が並びます。私的には、痺れるくらいかっこいい部屋でした(^^)

お酒は寒い冬に造るものだそうです。気温が低ければ、発酵をコントロールしやすくなるので、あらゆるケアをする余裕が生まれるのだとか。

そのため、寒地は日本酒に適しますが、九州や沖縄などの暖かい土地では雑菌が育ちやすいので、焼酎なのだそうです。杜氏は新潟の農家の方だったりして、夏はお米を作り、冬は杜氏になるのだそうです。雪で何もできなくなるから、もちつもたれつの良いシステム。

どこでもそうですが、課題は後継者。いま、千葉の地元の方を育成しているということですので、安泰ですね。



絞りたてのお酒、味見させていただきました。感じたフレーバーを記したノートは今、地球の反対側にあるので、思い出せません。すべてiPhoneに記録すべき昨今です。(^^)

思い出す限り、左からいきましょう。

・吟醸生濾過:アップル、グレープなどの豊かなフレーバー。後味さっぱり、きりりとしている。

・純米生濾過:思い出せません。ごめんなさい。

・無濾過:そのままの雑な荒々しい味もあり、おもしろい。料理に合わせると、それぞれに違う味がしそう。

・加水したもの:水のようにさらりとしていて飲みやすい。女性向けでお洒落な味。

最後に、酒粕をいただきました。酒粕ってじつは、私のオールマイティ・コスメティックス。これひとつあれば、美白系の顔パック・化粧水・クリーム・クレンジングとして使えるので、身軽に旅するために酒粕を持ち歩くことも。

でもこの酒粕は、もったいなくて使えないなあ・・・。冒頭に出て来た甘酒のクリームの味は、まだ生きている微生物が織り成す味で、「酒の母」からの贈り物だったんですね!

2012/02/18

五感のひとつがいざなう私的な世界観




インタビュー記事です。オランダ在住者のための会報誌「日蘭シルバーネット」掲載。ライターの方とデザイナーの方がとても素敵な方々だったからでしょうか、期待をはるかに超える素敵な記事になりました。どうもありがとうございました。

2012/02/17

チューリップ・ヘルメット

アムステルダムの Amsterdam Tulip Museum で作っている新作です。



チューリップの香りを探せ


チューリップの香り、ご存知ですか? このチューリップの花びらの中に頭を突っ込んで、匂いを嗅いでみてください。チューリップと、水仙と、ヒヤシンスの香りがするはずです。どれがチューリップか、当ててみましょう。

support: Omega Ingredients (www.omegaingredients.co.uk)


2012/02/15

De Derde Dinsdag にて、OLFACTOSCAPEのプレゼンします。

2012.02.21. (火)19:30 -
De Derde Dinsdag
@ Witte de With, Rotterdam
http://www.facebook.com/dederdedinsdag

こんどの De Derde DinsdagにおいてOLFACTOSCAPEのプレゼンをすることになりました。3月にV2にて展示をするので、そのプレビューです。コンセプトからミニチュア模型までをお見せします。ご興味あるかたは是非。おそらくオランダ語だと思いますが・・・。

折紙とアート - 参考リンク

昨日、ロッテルダム美大WDKAにおいて、テキスタイル学科の学生に向けて折紙ワークショップをしました。十二面体を折りました。以下、アートやデザインに参考となる折紙リンクです。
Here are recommend links:

Different variations of polyhedron (the model we folded together)

ORI-REVO: Application for making whatever 3D polygon
http://mitani.cs.tsukuba.ac.jp/ori_revo/

ORI-REVO's author.  Great portfolio!
http://mitani.cs.tsukuba.ac.jp/

Origami Club: contains hundreds of basic models, including jumping frog etc.
http://www.en.origami-club.com/

Kusudama: making abstract & architectural origami
http://foldingtrees.com/2008/11/kusudama-tutorial-part-1/

Toshikazu Kawasaki: origami mathematician, famous for his "Kawasaki Rose"
http://www.origadi.com/toshikazu_kawasaki.html 


2012/02/13

OLFACTOSCAPE がV2(オランダ・ロッテルダム)にて3/15に展示されます。


世界的に人気のあるメディア・アート・スペース V2(オランダ・ロッテルダム)において、OLFACTOSCAPE が展示されます。3月15日です。Test_Labというレギュラー・イベントの一環で、この晩は嗅覚がテーマです。さらなる情報をお楽しみに。 http://www.v2.nl

2012/02/04

Guerlain「MITSOUKO 」は花街の香り?

私は旅をするとき、よく空港の免税店に入ってはあらゆる香水をチェックしています。


先日友人とゲランの話をしたこともあり、久々に MITSOUKO の香りを嗅いでみました。


オードパルファムと、パルファムとが並んでいたので、パルファムの方を。


すると。あらら。これって、あの「伽羅の油」の香りとそっくりじゃない?


「伽羅の油」は、江戸時代初期の遊女が好んでつけていたといわれる「鬢付(ビンツケ)油」、つまりヘア・ワックスです。


現代でもお相撲さんがよくつけていらっしゃる鬢付が、似たような匂いを漂わせます。


ではなぜ私がその香りを知っているかというと、じつは2009年に展示のために、江戸時代のレシピをかなり正確に参照し、伽羅の油」を再現したからなのです。



↓作品詳細についてはこちらへ
http://www.ueda.nl/index.php?option=com_content&view=category&layout=blog&id=43&Itemid=78&lang=ja







「伽羅の油」がどんな香りかとひとことでいいますと、


「クラっとくる香り」


それだけでは肉桂(シナモン)などの生薬系の香りがきついのですが、これがまた髪の体臭とよく馴染み、油臭さを緩和させるのです。


夜の闇に、この香りを髪に漂わせる女性(遊女)が寄って来たら、誰だってそこは天国と、思うことでしょう。


さて、では肝心の問題に移りましょう。なぜ Mitsouko 香りが、「伽羅の油」に似てるのでしょう?


Mitsouko を調香したのは、ゲラン3代目のジャック・ゲラン。1919年のことです。


彼が何も無いところからこの香水を作ったわけではないでしょう。


「伽羅の油」を髪に塗りつけ、香りを優雅にた漂わせる、嗜みのあるその女性がもし、「ミツコ」という名前でなかったとしても、


モデルとなる実在の女性がいたのでは・・・と想像するのは邪推でしょうか。


Mitsouko。伝説の香水。こんな香りが似合う女性になれたらいいなあ・・・なんて思ってしまいますね。






お知らせです。


この「伽羅の油」を、ご希望の方に3000円でお分けします。先着5名様。現在オランダにおりますので、発送は日本に着いてから、3月となります。ご連絡ください。makiuedamaki [at] gmail.com






2012/02/01

「チューリップの香りを探せ!」




アムステルダム・チューリップ・ミュージアムから依頼を受けた作品制作が、着々と進行しています。

日本にいながらの、オランダでのパーマネント(恒久)展示作品の制作。そんな条件下での制作であるから、お断わりしようかと迷ったりもしましたが、それもこれも情熱を持って辛抱強く支えてくれたパートナー達のおかげで、すばらしい形で実現しそうです。彼女達とskypeでコミュニケーションしたり、香料を何度か送り直したり・・・。パッションさえあれば、距離は意外になんとかなるものですね。

作品は、「チューリップの香りを探せ」というタイトル。3つの似た球根類の香り(チューリップ・ヒヤシンス・水仙)をビジターに嗅いでもらい、お花畑のような香りの迷宮に迷い込んでもらおう・・・というものです。

ところが先日、パートナーから慌てた文面のメールが来ました。なんと、送った香料3点のラベルが取れてしまって、どれがどれだかわからなくなってしまった、どうしよう、どれがどれだか教えてくれ・・・というのです!

教えろといったって・・・。(^^) メールで指示しなければいけないのです。さあ大変。

なるべく万人にわかるような言葉で、わかりやすく、香りを表現してみました。

チューリップ: きゅうりのような爽やかな香りがします。でもその爽やかな香りが消えるのは早いです。その後甘い香りが持続はしますが、それさえも、3つの中ではいちばん早く消えます。

ヒヤシンス: ローズやジャスミンを想起させるような香りです。少しチューリップと似ています。

水仙:甘く、バニラのような香りがします。3つの中で、いちばん強く香りが残ります。とくにバニラ香が最後まで持続します。

さてこのテキストを頼りに、彼女達は果たしてきちんと香りの判別をすることができたでしょうか? それは間もなく明らかにされます。いまオランダに向かう機内の中ですから、遅くとも来週には見にいけることでしょう。とても楽しみです。

香り"X"の分解と再構築 / DECONSTRUCTING AND CONSTRUCTING THE SMELL "X"

香り"X"の分解と再構築  DECONSTRUCTING AND CONSTRUCTING THE SMELL  "X" いくつかの香りをバランスよく組み合わせることを「調香」といいますが、この空間で何をやっているかというと、「...