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アーティスト・サミット京都 2009 お知らせ

まもなく、京都へ旅立ちます。

京都造形芸術大学にて、滞在制作です。「世界アーティスト・サミット2009」に招聘されています。


制作予定作品(新作):

茶道と並んで日本の代表的な伝統芸道「香道」を研究し、世界アーティスト・サミットのテーマに沿ったオリジナル「組香」を創造します。組香とは、源氏物語などの文学をテーマに匂いを楽しみながら推測する、香道のゲームのようなものです。今回発表するのは、匂いを嗅ぎながら、イマジネーションを膨らませるための、ゲーム性とパフォーマンス性を伴ったプレゼンテーションを想定しています。

このサミットは、「アートがいかに世界を救えるか」といった、とても人道的な問いを原点としています。ではアートが世界の諸問題を解決できるか、あるいは解決すべきかというと、私は慎重な立場です。(実際に今、世界の現場で人生をかけて頑張っていらっしゃる方々へのリスペクトからです。)

その上で敢えて「匂いのアーティスト」という立場の私が提案するとすれば、ただひとつ。嗅覚への意識の喚起です。匂いは、ものすごいパワーを持っています。ある匂いによって突然、意識が時空を超えたり、引き出しに仕舞われていた記憶が顔を覗かせたり、という体験をしたことはありませんか? 匂いを嗅いで気持悪くなって吐くことはありますが、電子メールを読んで吐くことはありません。匂いはとてもパワフルなメディウムなのです。匂いに意識を向け、嗅覚を鋭敏にすることにより、世界の隅々に起こっていることへの私達の想像力をもっともっと鍛えることができるのではないか、と考えるのです。

そこで日本の誇るべき伝統である「香道」を形式として拝借し、サミットのテーマのもとで「組香」を創造し、それを12/19, 20 のサミットにて発表する予定です。制限時間が17分と短いので、伝統的な香道と比べるとかなり簡略なものになるでしょう。使う道具も香りも、世界各地から私が集めたものであったり、自ら調合したものだったりしますので、香道の常軌からは逸しているかもしれません。香を聞かせる相手も日本人に限ることもなく、国籍も人種も問いません。言葉が通じない相手と共に匂いを嗅ぎ、地球の反対側への意識と想いを共有する。そんな場を提供するところにゴールを定めています。



*これと平行して、過去の作品の中から一作品、ギャルリー・オーブにて展示する予定です。
eau de p…

においのアートを始めたきっかけ

アートといえばふつうは目で見て、耳で聴いて楽しむものですが、私の作るものは鼻で楽しむものです。匂いを素材として扱い、嗅覚のためのアート作品を作っています。

匂いはふつう、香水やフレーバー、アロマテラピーなど、いろいろな形で身の回りに存在します。わたしが探っているのは、こういった実用の範疇を超えたところに、どんな可能性があるのかという点です。たとえば匂いにより引き起こされるイマジネーションや感情、そして嗅覚が新たに切り開く知覚体験など、まだまだ未知の世界がそこに眠っているのではないかと思うのです。

ちょうど美術館に絵を展示するかのように、匂いを作品として展示しています。まさにひとつひとつの展示が実験そのものです。インスタレーションやライブ・パフォーマンスという形をとることもありますが、ワークショップという形で体験を共有する方法をとることもあります。こうして嗅覚に真っ正面から取り組む作家は、世界にも数人しかいないのではないかと思われます。

匂いのアートを始めたきっかけを話すと、長いです。幼少のころから趣味でポプリの調合をやっていたほどなので、嗅覚は敏感な方でした。高校時代のアメリカ留学先では、言葉の通じないフラストレーションから本格的に絵を描き始め、はじめてアートというものをリアルに感じ始めました。かといってすんなり美大に進んだわけでもなく、大学では五感の知覚や情報学に関する総合的な勉強をしました。同じく大学院ではメディア・アートの先生につき、卒業後はメディア・アーティストとしてオランダで活動を始めました。オランダへはいつのまにか流れ着いてしまった、という表現がしっくりきます。前出の先生がオランダのメディア・アート・フェスティバルでよく展示していた関係で、伝手があったことも要因ではありますが、やはりその延長線上で今のパートナー(オランダ人)と出会ったことが決定的な後押しでした。

ヨーロッパの中でもわりとオープンなオランダのアート・シーンも、土壌としては魅力でした。無名駆け出しの頃、「地球の裏側同士をインターネットで繋ぐ、地球の穴のようなものを作品として作りたい」とあるアート団体の方と何気なく話していたら、「それはおもしろい、やってみようよ!」と乗ってきて、どんどんプロジェクトが発展していくという始末。最終的にはロッテルダム市とオランダ大使館も巻き込み、ロッテルダムとインドネシ…