2013/10/30

嗅覚エキスパート3人が結集

昨晩、ブレダ(オランダ)にあるメディア系の学部にて、嗅覚アートに関するレクチャーをしてきました。

メディア系というとまさに、私の出身領域。そういうIT系の学部が匂いに取り組むとは・・・一昔前は考えられなかったこと。いたるところで匂いへの興味が急上昇中であることを、ここヨーロッパで感じています。


48時間、学生が寝食ともに過ごし、匂い談義して何かプロトタイプを作るための授業です。うら若き10代後半の男女が寝食ともになんて・・・しかもビールは飲み放題。なんかあぶなかしい企画ですね〜。先生たちも、「つまり、その・・・。言いたい事はわかるだろ。問題になるようなことはするなよ。」みたいな(笑)





レクチャーは、アート史専門家のカロ・フェルベーク女史と一緒でした。





「シャネルの分解」の作品を実際に嗅いでもらいました。



もうひとりのゲスト講師、ペーター・デ・クーペレとともに、嗅覚エキスパート3人で夕食。嗅覚アートの世界ではよく名が知られている3人ですので、情報交換し、同士として刺激を与え合いました。やっぱり嗅覚アートの本場は、オランダ圏といっても過言ではないですね。


Communication & Multimedia Design - Avans Hogeschool in Breda

2013/10/25

オランダ王立美術大学での授業(舞台裏編)

オランダ王立美術大学は、オランダの首都ハーグにあります。ロッテルダムの家からドアtoドアで約1時間くらい。

3週間ほど、めずらしく人並みの「通勤」をして、なんだか誇らしい私でした (笑)



ハーグ中央駅の目の前にある学校です。




建物は全体的にピート・モンドリアン! オランダには昔、デ・ステイルという美術運動がありました。モンドリアンはその中心人物でしたが、この建物もそれに影響されたものかと思われます。基本色は青・赤・黄・白。




授業は10:00から。受付で教室の鍵を受け取るのですが、私はどこからどう見ても学生にしか見えないらしく、よく断られました(笑)。授業が終わる頃にはようやく顔を覚えてもらえましたが・・・。

食堂でコーヒーを買って、コーディネータから印刷物を受け取ったりした上で、部屋の鍵を開けます。誰もいない、シーンとした教室。これがけっこう好きでした。



昼は1時間ほど、ランチの時間をとります。天気がよければ中庭でピクニック。この時間を使って次のプロジェクトを打ち合わせをしたり、別の学部の生徒の個別アドバイスをしたり。ランチブレイクもいつも忙しかったです。



午後の部を始め、16:00に終わります。片付けて教室を出るのはだいたい16:30。

私のワークショップでは特殊な器具や素材を扱うので、すべて自分のアトリエから持ち出しでした(もちろんコストはカバーされますが)。物理的にこの箱をほぼ全部、教室に移動したわけです。



車で通勤するときは、いたしかたなく首都のラッシュアワーの渋滞に巻き込まれます・・・。





家に帰ってからも何かと忙しく、その日の内容を整理してブログサイトに写真をアップしたり、翌日のプリントを作ったり。今は生徒の成績をつけているところです。

嗅覚や匂いの基本から知らないとお話にならない授業なので、なるべく体系づけて勉強できるよう、「教科書」を少しずつ作り始めています。すべてブログサイトに上げてますので、興味ある方はご覧下さい(英語です)。

http://smellart.blogspot.com












2013/10/21

嗅覚のためのゲーム

匂いとアート - 匂いというメディウムをアートに応用するための導入コース -

このコースは Maki Ueda (www.ueda.nl)により、オランダ王立美術学校 (www.kabk.nl) とオランダ王立音楽学校の学部間学部アート・サイエンス(www.interfaculty.nl)にて提供されました。






3週間の「嗅覚アートへの導入コース」が終わりました。最終課題は「嗅覚のためのゲーム」。学生の力作をご覧下さい! みんな輝いているでしょう? 匂いについて知ると、人生が開けるといっても過言ではありません。

またこの授業は世界的にもユニークな内容なので、とたんにツイッターなどで拡散され、「受けるにはどうしたらいいの?」といった質問が世界中から舞い込んでくるようになりました。以前にも増して。

このような形で学校のコースとして(単位の対象として)やらせてくれるところは、今の時代ではまだ稀だと思ってます。オランダには密な人脈があったからこそ、かつオランダ特有の開拓精神があってこそ実現できたこと。嗅覚のアートはまだまだ、黎明期なのです。

なので、じぶんのアトリエ兼ワークショップ・スペースを作らないと・・・。数年前から公言している夢。

世界のどこでもいいといえばいいのですが、やはり日本がいいかな。条件は、庭付き一軒家、格安、外人に魅力的な田舎、かつ成田からアクセスが良いこと、かな。千葉の田舎か、LCCが豊富な沖縄が候補地です。







2013/10/13

休日はよく植物園に行きます

いつ行っても植物園をほぼ独り占めできるので(経営だいじょうぶだろうか)、
ひとり静かになりたいときにいい。

昨日は私物整理をしていたらホコリで喘息がリバイバルしてしまったので、
まずいと思い、清澄な空気を吸いにここに来ました。


ロッテルダムでいちばん好きな場所です。
Trompenburg 植物園。








もうちょっと早い時期ならもっと香りも潤沢なのでしょうけど、もう季節は晩秋。


何のハーブかな。紫色の匂いだな〜と思ったら、紫色の花でした。


これは春っぽい香り。


"sparren"
Echinaformis という植物。針葉樹系の澄んだ香り。






これは。先日学生が抽出していた植物だ!
"Rollissonii"
グレープのような爽やかな芳香の奥に、ドクダミに似た生臭い香り。蠅を寄せ付ける為の香りかな。










Tea House はお休み中。。。残念。ここでケーキとお茶するのが愉しみなのに。










様々な針葉樹があるエリア。



そして私の大好きな場所、カナリヤ小屋。それはもう涙が出るほど美しい音で満ちています。本人達はただささやいて歌ってるだけのつもりなのだろうけど・・・。





サボテン小屋が新しくなった。お弁当持って来たら、ここで食べれるなあ。



サボテンの幾何学は、自然の摂理。本人達はそれがどれだけ美しいか知らないだろう。













サボテンの花にも微かな芳香がある。





サボテン小屋から外に出ると、急に秋の香りが鼻に入って来る。嗅覚に敏感になる。
温度と湿度の差によるのかもしれない。

砂漠からオアシスに戻ったら、喪失したはずの嗅覚が戻ったという人の話を思い出した。









































2013/10/12

教えるって、ひたすら愛を注ぐ「ご奉仕」の仕事




私が現在教えている "Art Science"という学部 (www.interfaculty.nl) は、

オランダ王立美大 (www.kabk.nl)と王立音大 (www.koncon.nl)の共同設置学部です。

日本で言えば東京芸大にあたる、オランダのアート界では名門校です。

そんなところで、なぜ私のような日本人が教えることができるのか・・・不思議ですよね。



この学部は、哲学者であり教育者である Frans Evers と、作曲家の Dick Raaijmakers により、80年代に"Sound and Image Department” という名で創設されました。

世界的にはそれほど名が知れた学部ではないのですが、

オランダでは早くから広義のメディア・アートを実践している学部として知られています。

哀しいことに創設者はふたりとも、ここ数年で次々に逝ってしまいましたが、

その初期の教え子たちと、その教え子たちが成長して次々と先生になりました。



私はオランダ移住当時から、彼らと公私共々仲良くしています。

興味や仕事領域、捉え方や考え方が似てるんですね。

そういう人たちと展示のオープニングやイベント、パーティなどで会って、

ビールやワインを交わしながらあーだこーだ語り合う、

そんなことの積み重ねが、この仕事に巡り会わせてくれたと思っています。

つまり、お酒を交わすって、古今東西、大事なんですよ! 笑



アーティストって、半分くらいは呑みの仕事なんじゃないかな・・・

じつは水商売。 笑

呑めないとやってけないというわけではないけど、けっきょく人脈ありきの仕事なので。

今のように名が通るようになった後は、別に必要ではありませんけどね。



私はここで3年前に初めて、3週間ワークショップの講師をやらせていただきました。

内容は今年と同じ "Smell and Art" です。

当時、女性の講師はひとりもおらず、おまけに私はアジアからの移民・・・マイノリティ。

威厳のあるオランダ人男性のズラッと並ぶ講師陣の中にあっては、

こんな小さなアジアの女が教えるなんて、学生にとっても異例中の異例でした。



それでもチャンスを与えられた事に深く深く感謝し、

教えることに慣れてない私も、拙い言葉で必死にやり遂げました。

教え子のうちひとりは、その時に作ったゲームを土台にして修士論文を書き、

またこのコースにインスパイアされた生徒が去年、匂いの作品を発表して卒業しました。

教えることの歓びを感じる瞬間です。


ここではただ「匂いの作品」を作ればいいという授業ではありません。

「匂いのゲーム」を作ってもらっています。

嗅覚のアートを作る初心者は、

「匂い」と「記憶」あるいは「感情」「フィーリング」にまつわる作品を作りがちで、

そういう抽象的なものは鑑賞の対象としては批評することが難しいのです。

「これが私の幼少のころの記憶です。匂いでダイレクトに感じて!」という匂いの作品を見せられても、

課題作品としては、どう点数をつけていいか悩みますよね。



ゲームを作るためには、ルールを決める必要があります。

そして、じぶんの手の内を隠す方法、つまり情報をコーディングする方法を考える必要があります。

そして、ランダム性や、「逆転」などの盛り上げの手法も考えると更に良い。

なにも自分でゲームを一から作る必要はなく、

すでに伝承の中にある「遊び」をちょっと組み替えて、匂いをそこに使いなさい、とナビゲートしています。


「先生」というとエラそうだし、かっこ良く聞こえますが、

教えるということは、無限に愛を注ぐ行為。体力だけでなく精神力も使います。

大学生には「じぶんは自立した大人である」という自我があるので、そこを愛しつつ、問題を指摘し、修正しなければいけない・・・。

しかもそれを「他人から指摘された」ではなく、「自分で気づいた」と思わせるようにね。

SかMかでいったら、とことんM。ひたすらご奉仕の仕事なんですよ! 



早くも2週目が終了。

準備も含め、一日一日が気が抜けないので、授業が終わったら、誰もいなくなった教室でしばしボーッとしています。


でも、真剣に取り組んでる姿や、その成長ぶりを見ると、カワイいと思え、もっとサポートしてあげたくなる。そして私も充実感を得る。

そんな愛の循環です。


残るあと1週。ここからが本番の、精神戦です。














2013/10/09

オランダの美大での授業も、半分終了



授業後のこのホッとしたひとときが好きです。

後半はさらに生徒ひとりひとりに向き合い、
その成長につきあっていきたい。

夢は、日本の美しい田舎に自分のアトリエ兼ワークショップを持ち、
いつでも世界中の人たちを受け入れ、教えてあげること。

すでにそういう要望はたくさんあり、
今まで応えられなかったことをとても悔しく思っているのです。

なので、これは未来への土台としての大切な授業です。


2013/10/02

嗅覚アートの導入コース Smell and Art

オランダの王立美術学校と王立音楽学校の学部間学部であるArt Science  (www.interfaculty.nl) にて、"Smell and Art"という、嗅覚アートのイントロ・コースを教えています。3週間がかりで学生達が仕上げるのは「嗅覚のためのゲーム」です。ブログはこちらです。

http://smellart.blogspot.nl/2013/10/day-1.html

香り"X"の分解と再構築 / DECONSTRUCTING AND CONSTRUCTING THE SMELL "X"

香り"X"の分解と再構築  DECONSTRUCTING AND CONSTRUCTING THE SMELL  "X" いくつかの香りをバランスよく組み合わせることを「調香」といいますが、この空間で何をやっているかというと、「...