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AROMA RESEARCH VOL.42 に記事を寄稿しました。

季刊 AROMA RESEARCH VOL.42 に、寄稿した記事が掲載されています。

匂いのタイム・トリップ〜400年前の長崎・出島の世界へ〜…アーティスト 上田麻希

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フレグランス・ジャーナル社
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嗅覚が治った人の話

あるパーティにて匂いの話をしていたら、ひとりのもの静かな男性が寄って来て「ひとついいか な?」と話を始めました。

わたしは、印刷や版画関係の仕事をしていた関係で、ペイント溶液の刺激臭のために嗅覚を失ってし まいました。

ところがサハラ砂漠に旅行したときのことです。サハラ砂漠は、その暑さと乾燥のため、まったく何 も匂わない過酷な環境です。 そこでしばらく過ごした後、また普通の環境に戻り、シャワーを浴びま した。すると、匂ってくるのです。匂いがわかったのです。

まったく嗅覚への刺激がない環境でしらばく過ごしたことが、彼の鼻には刺激になった、あるいは匂 いを嗅ぐための活力を与えた、と解釈できそうです。

そこで彼に、私の断食体験も紹介しました。断食の主旨は、何も摂取しないことで、逆に体に活力を 与えるというものです。デトックスつまり毒素を出すためにも、入ってくるものを遮断しなければいけません。


私たちは 24 時間 365 日、常に刺激に囲まれています。見るもの、聞くもの、食べるもの、匂うもの、 触るもの。人間の体はとてもセンシティ ブです。たまにはスイッチ OFF することも必要なのかもしれませ ん。

その人はまた、こう続けました。

今では私は、人と会ったり話をするときに、その人の匂いに意味付けするかのように記憶するようになりました。私の嗅覚が失う前に戻ったのかどうかは、よくわかりません。比べようがないのです。ただ、嗅覚の意味が私の中で変わった事だけは確かです。

まさにわれらの体に潜む神秘のパワーです。

SMELL x ILLUSION : ドキュメント

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ボート・ツアーを使った作品 SMELL x ILLUSION でアシスタントしてくれたオグザリス(インドネシア人)が作ってくれた、 SMELL x ILLUSION ドキュメンタリー・アルバムです。どうぞごゆっくりご覧下さい。



Smell - Life - Technology 終了

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ロッテルダムの美術アカデミー Willem de Kooning Academy の CrossLab で受け持っていた授業

Smell - Life - Technology

が終了しました。
(正確に述べるならば、授業は4月に終わってたんですが、成績つけがようやく終わり、全て終了、一区切りついたところです。)

ブログサイト
http://smelllifetechnology.wordpress.com/

このブログサイトでは、匂いの現在形、つまりいま世界中でどんな試みが行われているかを、ざっと概観できるようになっています。学生達が課題で調べたものです。

未来へのアイディアをプレゼンする最終回では、「ベンチャーの会社の社長になった気分で」プレゼンしてもらいました。そして「あなたが資本家ならどのプロジェクトに投資するか」を学生達に投票させました。なかなか唸るようなものもけっこうありましたよ。







[刺青] by スケベ人間

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パフォーマンス
"刺青 / the tattooer"
Hoogtij #21, at Het Nuthuis, Den Haag, NL
premier 04.06.2010.


先週末、パフォーマンス・グループ「スケベ人間」とのコラボ・パフォーマンスのプレミアでした。

日本を代表する耽美主義作家/谷崎潤一郎の処女作「刺青」をベースにした、美と官能、が支配する静かで濃密な空間。

小説に描かれるフェティッシュなジャパニーズ・エロティシズムの世界がテーマです。(上田は匂いを担当しました。)

美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える。夜光の珠も暗中に置けば光彩を放つが、白日の下に曝せば宝石の魅力を失う如く、陰翳の作用を離れて美はないと思う。ー陰翳礼賛ー 谷崎潤一郎

音の肌理 皮膚の潤沢
駕篭からこぼれた白い足
針を打つ 女郎蜘蛛
かそけき音 吐息 「愚」という貴い徳
掠れる音の痛み 夜
すべて美しい者は強者であり、醜い者は弱者であった。





匂いを写真でお見せできないのが残念ですが、雰囲気だけでも・・・。





摩擦音や、水禽靴のような水の残響音。とても触覚的です。



パフォーマーはNDT(ネザーランド・ダンス・シアター)の若いダンサー。









この後、パフォーマーは一旦退場し、幕が変わり、タトゥーを見せます。タトゥーの写真が撮れなかったのは残念。薫香に忙しかったのです。

2種類の香りを薫きました。

1つ目は、沈香。むかし、茶屋で常時薫かれていた香りです。いわゆる、愛、欲、エロスの匂い。
2つ目は、焼香。ご存知のとおり、お葬式で薫かれる香りです。いわゆる、死、昇華の匂い。

焼香は、沈香も含むあらゆる香木で構成されるいわゆるブレンド香ですが、グレードが高くなるほど沈香に近い香りになります。愛欲の匂いが死の匂いと背中合わせ。いかにもアイロニーに満ちてるではないですか。この事実からむかしのリアリティを垣間見ることができ、それを私たちも匂いで疑似体験できればいいなと思い、この2つを選びました。

たったの20分の、夢のように儚いパフォーマンス。とても好評でした。

スケベ人間
www.sukebeningen.org
dance: Chiaki Horita (NDT)
music: Noriko Koide
electronics: Yota Morimoto
tattoo: Oyuki
olfa…