投稿

1月, 2009の投稿を表示しています

[匂い日記] 正月の匂い(2)

イメージ
香取神宮(千葉県佐原市)。参道の杉林の香りが境内へと誘ってくれる。






香取神宮の蝋梅(ロウバイ)は、まだ蕾。匂いが嗅げずに残念に思っていたところ、ちょうどこの数日後に福岡の人が蝋梅の花を持って来てくれた。爽やかな春、というよりはセクシーな春の匂い。






近所の公園に咲いていた山茶花(サザンカ)。これまで匂いなんてわざわざ嗅いだことはなかったし、どうせあまり匂いはしないだろうと思っていたところ、これがまたなんとバニラやトンカ・ビーンズのような甘い香りだった。







こちらの情熱的な色をした山茶花は、匂いも然り。ジャスミンやローズのような香り。日本の公園には、四季折々に匂いを発する花や木がたくさんある。古来より日本人は、自然の香りを愛でながら、四季の移り変わりを鼻で辿って来た。その独特な感性が、ここにこうして表われているように思う。



ここからは、日本の正月の匂いというよりは、わたし個人の体験した季節の匂いをご紹介します。





千葉県銚子市犬吠埼にて。引き潮になると、風と陽の光が岩海苔をすばやく乾燥させる。その過程で、美味しそうな磯の香りが辺りにまき散らされる。これは自然が仕組んだワナに違いない。思わず岩海苔を味見したくなった。








実家の近所の公園。子供のころ、よく放課後を過ごした場所。ここの土と、この埃の匂い、覚えてる。よく水を加えてドロドロにして、チョコレートとかいって遊んだから。






この公園には大きな銀杏の木もある。なので、秋から冬にかけてはギンナン臭い。ところでこのギンナンを食べようと家に持って帰ったら、季節が遅すぎたのか、芽が出かかっているものがあってちょっとビックリ。



[匂い日記] 正月の匂い(1)

イメージ
お正月用の花。菊のつややかな匂いの奥に松葉の澄んだ匂い。





丸の内ホテルにて。門松に百合。これって、匂い的にはちょっとつりあいがとれてないけど、ホテルのロビーはうっとりした匂いに包まれる。

最近気づいたのだけど、日本のレストランやバーには百合が多用されているようだ。その匂いは決して淡白なものではないから、肝心の食事の味を落としてしまうようにも思う。なのでヨーロッパでは百合はそれほど使われない。日本人は百合が好きなのだろうか。






年末30日の夕方、セール中のスーパーのあまりの混みように、思わずシャッターを切る。たぶん溢れかえるモノと、我れ先にとセール品に飛びつくヒトに酔ったのだ。わたしの鼻もシャットアウトしてしまったにちがいない。こんな面食らった体験ができるのも、アジアならではかもしれない。







今年は初めてお屠蘇を作った。「屠蘇散」というティー・バッグのようなハーブ・ミックスを、一晩清酒に漬けてフレーバーを出したもの。桂皮(シナモン)と丁字(クローブ)がそのフレーバーの中心なのだが、これがまたオランダの聖ニコラス祭やクリスマスを想起させる。やはりシナモン&クローブ風味の「bishops herbs」というクリスマス・ミサ用のハーブ・ミックスがあって、これを温めたワインに漬けて浸出させるのだ。同じような時期に、同じようなハーブを、同じように使う習慣がヨーロッパにも日本にもあるというのはおもしろい。








鏡餅には庭の木からもぎたての蜜柑を。手にも蜜柑の匂いが染み付く。「なんでミカン載せるの?」「なんで1個だけ? もっと載せようよ。」とムスコ。あのね、積み木じゃないんだよ。

[匂い日記] 樅の木 vs 沈香

イメージ
前出の作家 Kenji Yamada くんと、そのアトリエ・コンプレックスで会った縁のある人たちを、おうちディナーにご招待しました。

ワインが回ってホロ酔いのころ、香を焚きました。灰をまき散らしながらだったので、まだ経験が浅いのがバレバレですが。



まずは沈香。



次に、この作家の展示からちょっと拝借して来たクリスマスツリー、樅の木を焚きます。





オランダ人のコメント:
「沈香はすごくエギゾチックで、いろんなレイヤーの匂いが乗ってるけど、樅の木はすごくヨーロピアンなイメージ。しかもフラットな木の匂い。」

伝統的には、クリスマスの後に樅の木を燃やすのには、厄除けの意味があったとか。ヨーロピアンなら誰でもきっと、いつかどこかで樅の木が燃える香りを嗅いだことがあるんでしょうね。

ところで「燃やして厄除け」という考え方は古今東西共通するものなのでしょうか。

それにしても。香るときはみんないい顔をしているな。

[匂い日記] 哀しげなクリスマス・ツリー

イメージ
日本からロッテルダムに戻り、時差ボケが明ける頃。あるアトリエ・コンプレックスから展覧会のレセプション兼新年会の招待状が届いた。このコンプレックスには日本人がよく滞在するのだが、今回も日本人の展示だった。



展示空間は寒かった。もともと寒い部屋なのに、なぜこの作家はこんなに寒々しいものを作るのか、と思った。でもこの飛行機の形は見たことがある。御巣鷹山に落ちたあの飛行機だ。



この作家の目的はただ寒々しいものを作ることではないようだ。伯父さんをこの事故で亡くしている。つまりこれは彼なりの弔いなのだった。



その作品のように静けさと温もりを漂わせる山田健二くん。世界は狭いもので、むかし私が教えていた学校の卒業生なので、共通の知人も多い。



クリスマス・ツリーはたぶん森を表現するための道具として使われたのだろうけど、これがまたいい匂いを発していた。そのため展示空間はしんとした森の静けさを上手に漂わせていたのだった。

オランダでは12月中旬になるとあちこちの街角で大小のクリスマス・ツリーが山積みで売られる。これら樅の木はクリスマスまでの短い期間、綺麗に着飾られ、人々の視線を一斉に浴びる。クリスマスが過ぎると誰にも見られなくなり、新年になるころにはゴミの日にまた山積みにされる。私にはそれがいたたまれなく思え、これまでツリーを買えずにいた。

今年はもうすぐ5歳になる子供にせがまれて、鉢植えの小さなツリーを買った。それさえも日本に帰省していた間に枯れてしまった。ちょうどこのツリーの処理をした矢先の展示だった。

クリスマス・ツリーとして使われなかった樅の木の、その哀しげなこと。でもその匂いによって、じぶんの存在を主張していた。

我が家のツリーも同じだった。ゴミに出そうと思ってたら、まだ匂いは健在だった。なので、いつか薫香に使えるように、細切れにして乾燥させ、保存しておくことにした。

このアトリエ・コンプレックスはロッテルダム市のゴミ処理場の隣に位置する。アトリエの住人によると、たくさんのクリスマス・ツリーが焼却される今の時期、なんともいい匂いが漂ってくるのだそうだ。どんな匂いか嗅ぎたい? と、樅の木の幹をひとつ、暖炉に放り込んでくれた。



この匂いはワインをいっそう美味しくした。燃えるクリスマス・ツリーは、ここで死んだようにも、また生まれ変わったようにも思えた。

[匂い日記] 鞍馬山の匂い

イメージ
友人に誘われ、京都の鞍馬山へ行きました。準備不足でハイヒールだったため、フラフラと山道を登っていたところ、深い杉林の中で突然どこからか甘く優雅な香りが漂ってきました。(詳述すると丁字、白檀、桂皮 といったところ。)これはまったくの不意打ちでしたが、その匂いに案内されるかのように更に上へと登りまた。山頂にある社(奥の院)のお線香がその匂いの源だったのです。

お線香の焚き方もさすがというか、一束をいっぺんに焚いてました。なんだかご褒美をいただいたような気分です。山道を歩いた後で体はポカポカ、天を見上げると杉林の澄んだ吐息が聞こえるよう。恍惚を感じないはずがありません。

かの比叡山延暦寺には、特製のお線香があるそうです。鞍馬の線香がそのようにオリジナルのものだったかは定かではありませんが、寺や神社のアイデンティティーがオリジナル線香の香りで表現されている・・・というのはありそうな話しですよね。教会もそうだったりして。どなたかご存知の方、教えてください。


木の肌にへばりついているのはオーク・モスでしょうか。多少の標高があるところに生育すると聞いたことがあるので、たぶんそうでしょう。

香道

イメージ
先日、麻布十番にあるお香屋さん香雅堂にて、御家(おいえ)流の香道体験教室を受講してきました。

感想。日本の香は、フランスのパフュームの深みに負けないものがある。といってもまあ、別にオリンピックじゃないので対抗してもしょうがないのですが、そのくらい、日本人である自分のルーツのほんとの足元を押さえないと、と思わされました。

香道が確立したのは中世といいます。それまで数種類の香木をブレンドした「練香」が主流だった中で、香道は果敢にも沈香という単一香木にのみ焦点を当てるようになります。ひとつの種類の木でも、産地や生成条件が異なるだけで、微妙に違う匂いを発します。その微妙さ加減を追求してみようじゃないか、といった日本人的ともいえる美学が香道を作り上げたのです。

体験講座では源氏香という組香を楽しませていただきました。1番目から5番目まで、どれとどれが同じだったか、匂いを聞き当てるものです。さっぱり当たりませんでした(笑) でもそのうちのひとつに、香木としては最も高価な「伽羅」が入っていたのはラッキー。よくいわれるように、幽玄で清澄。ああそうか、これが伽羅なのか。匂いを嗅いで初めて、言葉と感覚が一致すると、スッキリしますね。

さて、この香道教室以来病みつきになってしまい、毎朝起きると必ず香を焚くようになった私です。

なにも難しいことはありません。香道具3点セット、香炉、香炉灰、銀葉(ぎんよう)、香炭団(こうたどん)そして香木を購入すれば、こうして家庭で気軽に焚くことができるのです。全部でせいぜい1万円もしないと思います。一日をこうした儀式で始めると、気が満ちて来るのでかなりオススメ。

アロマポットで精油をディフューズすると、匂いが中心点から拡散する感じですが、一方で和の香は「空に漂っている」感じ、つまり香りが部屋に満ちる感じなのです。やはり畳と障子に合った香り方かと思います。ヨーロッパの煉瓦作りの我が家には、やっぱりアロマテラピー式の方が合うので、ちょっと悔しい。

FM多摩で放送予定!  味わう香水ワークショップ 

イメージ
FM多摩にて、2月1日(日)10:00〜10:18 の「風色の週末」内、「アロマの休日」というコーナーで「味わう香水ワークショップ」のドキュメントが放送されます。

FM多摩は、FMラジオの77.6MHz で、多摩市を中心に東京多摩地域で聞くことができます。(都心では、高いところや運の良いところなら聞こえることもあります)

















上の写真は、ワークショップ参加者の方からいただきました。どうもありがとうございました!

「オトコ香る」 体身香ガムの実証実験

以前このブログでもご紹介させていただいた、クラシエ・フーズの「オトコ香る チューイング・ガム」
このガムを噛んだら、カラダ全身からローズの香りが漂う、というものです。いわば飲む香水。男性向けに開発されたガムです。

2008年にイスタンブールで講師をした際、25歳のトルコ女性が実際に実験台になってくれました。噛んで1時間後。手や腕に鼻を近づけると、みごとローズやジェラニウムの香りが漂っていました。

しかしやはり是非とも日本人男性を実験台にしたい、とかねがね思っていたところ・・・なんと、このガムを噛んで、某女子大前をうろついてみるという、勇気ある(?)実証実験をしてくださった方がいらっしゃいました。その貴重なレポートをここにご紹介します。

そこのあなた! 笑っちゃだめですよ! じつにマジメな実験だそうですから(笑)



実験名
「オトコ香る」ガムの女性誘引効果 実証実験 第1回

日時
2008年1月10日(土) 14:00〜14:30 

場所
A女子大学Bキャンパス正門前 東京都 およびキャンパス周辺

実験品
「オトコ香る」ガム 製造:クラシエフーズ(株)東京都港区海岸三丁目
購入:Cドラッグストア、入谷駅傍 東京都 145円 レジ前の棚

実験者
D(仮名)56歳 身長167cm 体重72Kg スリーサイズ不明 妻子あり
なお、実験者は次ぎの二つの条件を期待しているようである。
香りを嗅いだならば「見境なく、理性を失い」誘引される。理性が働いては何の意味もない。18〜22歳というピンポイントの年齢選択性を有する。60歳の女性が誘引されてもな〜。
結論
効果はまったく認められない

経過
ガム購入後、移動時間内にガム2枚を噛んで、実験開始5分前にガムを廃棄。咀嚼時間20分。
その状態で実験地周辺で対象者近傍をすれ違う実験をおこなった。
当日の服装:セーターの上にジャンパー+スラックス 
上半身は下着から計算して4枚の防御があることになる。
当日は休日のため女子大生・短大生の出入りは少なかった
すれ違った女子大生 正門前8人  キャンパス周辺14人
すれ違った時の距離 50cm〜1.5m
⇒何の興味もないように振り向きもしなかった。
なお、おじさんがうろうろしているので、守衛が不審な顔をしていた。

考察
ネット等の情報によると、カラダからほのかに香るのは15cm以内の近接状態ということなので、ジ…

味わう香水ワークショップ in Tokyo

イメージ
味わう香水ワークショップ
主催・協賛:香りある生活プロジェクト

2009年1月11日 14:00 - 17:00
東京(多摩市関戸公民館)にて
参加者15名



ミニ実験室というべきか、キッチンというべきか・・・。どちらとも言えない、ちょうどその間のようなセットが、多摩の関戸公民館内のワークショップ・ルームに展開されました。

FM多摩の密着取材が入ったこともあり、ワークショップ・ルーム室内はまさに熱気と香りに満ちあふれました。

さて、参加者の方々はどんな食材を「彼&彼女」のフレーバー・カップルとして持って来たでしょうか。一例を紹介しましょう。


香菜 & 柚子蝋梅 & 松リンゴ & ラベンダーレモングラス & 椎茸カー & レモングラスモンゴルチーズ & エーデルワイス桜の花の塩漬け & マンゴー黒糖 & ウーロン茶ジンジャー & バタースピナッチ & 柚子紫蘇 & レモン柚子 & カルダモン 


みなさんと抽出媒体・温度などを相談した後、まずは各々の持参した食材を、細かく砕く・切る台所作業が始まりました。





なんともいえないブレンドされた香りが室内に充満します。





下準備した素材を特製の袋に詰め、さらに抽出媒体となる液体を注ぎます。





熱を加えてフレーバーを抽出中。今回は旬な素材を持参した方も多かったので、フレッシュな匂いを出すため、手の平で温める方法を勧めたケースも多かったです。



抽出時間終了後、フィルタリング。



色付きの透明な液体が瓶に流れ込みます。
その色の鮮やかさに「キレイー」という声があちこちで上がりました。



カップルとしての2つの味(香り)を調合し、新たな味をクリエイションする作業。鼻の使いどころです。



最終的にはみんなで味見して周ります。フレーバー・オイル(あるいはリキュール)をオブラートに染み込ませて、実際に口にしてみるのです。



全部で15種類あるので、次から次へと登場する斬新な味に舌は悩まされます。





























ワークショップに参加されたみなさま

こんにちは。
魔女こと 上田麻希です。

先日は、味わう香水ワークショップに参加していただきまして、ありがとうございました。

ふだん私は匂いを素材として扱う美術家として制作をしていますが、そのプロセスを多くの方と共有することで、味覚と嗅覚に関するいろんな発見をしてもらいたいと始めたワークショップでした。

今回やはりベルギーとは違ったのが、旬な和の素材を持って来られた方々が多く…