お歯黒水を作ってみる
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上段左より:水飴、塩、味醂、砂糖
下段左より:麹、古釘、お茶
日本の伝統的な化粧の色は、白・赤・黒の3色でした。
白は、白粉(おしろい)。いわゆるファンデーション。いかに顔かたちの欠点をカバーするかの白粉法が江戸時代には確立されていて、その方法論は「都風俗化粧伝」という古書に見ることができます。
赤は、紅(べに)。紅花からとった紅を、リップとしてだけでなく、アイライナーやアイシャドウ、ブローなどのように使いこなしました。古代から紅化粧には魔除けの意味がありました。
黒は、眉墨とお歯黒。江戸時代、女は結婚すればお歯黒をし、子を産めば眉を剃ったのだそうです。
お歯黒は古代からアジア地域に見られる風俗文化で、虫歯の予防法でもあります。
*wikipedia 「お歯黒」
鉄漿水と呼ばれるお歯黒水はかなり独特の悪臭を発するので、家庭の奥様は家人が起き出す前にひっそりと塗っていたとか。奥ゆかしいですね。
お歯黒した女の人ってなんだか気味が悪いと思う人も多いでしょう。ところが江戸時代の化粧関連の文献を漁ってその美意識を吸収してみると、
「ふーむ。やっぱり、お歯黒がないと化粧も締まらないな・・・」
とさえ思えてくる。
さて、お歯黒水がどんな「悪臭」を発するのか興味があるところ。当然、試作してみるでしょう。
まず、錆びた古釘が20本必要です。木工系のものは一通り揃えているパートナーに、「ねえ、錆びた古釘20本くらい持ってる?」と聞いてみた。「そんな物ふつうは捨てるから持ってないよ。いったい何に使うの?」と返って来て、説明に窮する。(別に悪いことをしてるわけではないのだけど 笑)
いざ古釘を調達しようとすると、これがけっこう難しい。
そこで19世紀建造の我家の屋根裏から、20本の古釘を抜くという意外な作業から、お歯黒水作りは始まりました。
さすが100年前の古釘。これ以上不可能なくらい錆びまくってます。
古釘を焼いてから、
沸かしたお茶に投げ入れます。
その間に麹を準備。2年くらい前に日本から持って来た冷凍のしかなかったけど、ま、いっか。
お茶、古釘、麹、塩、味醂、水飴、砂糖を混ぜ合わせ、こうして3ヶ月寝かせます。
できあがったら、このお歯黒水と五倍子粉(ふしこ)という粉を交互に歯に塗ります。毎日、あるいは最低でも数日に一回は塗るのだそうです。
(注)コスプレ・ボランティアを希望されてる方へ:実際に当日歯に塗らさせていただく(かもしれない)お歯黒は上のものではなく、シアター用メイク用品です。御心配なく(笑)
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