アロマ・クッキング

私が匂いのアートを始めたのは、じつは料理好きが高じてのことです。

匂いも味も、一見ちがうもののように思えますが、 じつは同じ感覚器官(嗅覚)で感じるものです。

味覚の80パーセント以上は嗅覚の担当といわれています。 「味」と感じるもののうち、 塩味、甘味、苦味、酸味、旨味は舌で感じるものですが、 それ以外は嗅覚。

風邪をひいて鼻が詰まってしまったら、 オレンジの味も「なんだか甘酸っぱい」としか感じられなかったりしますよね。

匂いや香りの視点から料理をしてみるとたいてい、どんなものでも、美味しく仕上がります。

たとえば、私が使っているテクを挙げてみると・・・

  • スパイス類は、油に香りを馴染ませると良い。たとえばカレーを作るときは、水を加える前。香気成分の90%以上は油性なので。
  • スープを作るときは香りを逃がさないように必ず蓋をする。決して蓋を開けたままグツグツさせない。
  • しょうがやニンニクは、香りを出すために、潰してからスライスorみじん切り
  • しょうがやニンニク、鷹の爪、ローズマリーやタイムなどは低温で炒め、油に香りを移す。焦がさないように。
  • イタリアンのパスタなどには、ドライトマトとニンニクを漬けたオリーブオイルを使う。香りが染みていて、旨味も凝縮されている。
  • バジル・パセリなどのハーブは、熱を加えると味が変わる。目安は、乾燥したときにどんな味がするか。その味を出したいときは熱を加えるが、それ以外は非加熱で使う。
  • 胡椒は挽きたてがいちばんなので、常に胡椒専用の小さい乳鉢(100円ショップ購入)を用意しておく
  • その他スパイス類は基本、ホールのものを買い置く。保存はアルミ缶(蓋がついてるアルミ缶のコーヒーボトル を、重曹で洗って香りを落としたものを使う)で涼しいところで。アルミ缶がないときはアルミホイルにくるむ(冷凍時も)。使う都度、すり鉢や乳鉢で擦る。
  • 胡麻、ナッツなどは、使う前に空煎りし、香ばしい香りを出す。 
  • ひじきなどの海草類を油で(低温で)炒めると、香りが出て美味。海草類は油と相性が良い。 乾燥の磯海苔は、油で和えると、水分が抜けてパリッとして香りが出る。
  •  似たような香りのもの(同じ科のもの)を数種類組み合わせる。例:にんじんとセリの味噌汁。
  • 鰹、昆布、椎茸などの出汁をとるときは、香りを逃がさないように時間をかけて低温で抽出。 

その他にもまだまだたくさんあります。

以上、料理の基本中の基本でもあります。でも嗅覚的な視点を持つか持たないかで、味はグンと違ってきます。 是非試してみてくださいね。

今日のレシピ
「ムスク」のセクシーな香りが口中に広がる、豆腐の漬け物。男性的な、官能的な香りです。豆腐もプロテインの一種と考えれば、納得していただけるかと。 味噌と酒粕を半々ずつ、日本酒を溶いてペースト状にしたものに、木綿豆腐を1cmに切って漬けます。毎日味を見てください。2日目くらいにその味に達することもあります。

(junkstage.com への寄稿改訂)

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