嗅覚のアート展 展示ストーリー(2)
最近の嗅覚アートシーンは、私を一人前の作家として扱ってくれ、
しかもその世界のリーダーのひとりとして扱ってくれ、
リスペクトしてくれるようになりました。
(欧州に限りますね。日本にはまだない領域なので ^^;)
今では多くの人が、私にいろいろオファーしててくれ、ありがたいことに、
世界中から「何かできることがあったら言ってよ」といったメールが舞い込んできます。
例えば香料が必要だったら、香料を喜んで提供してくれるフランス人やイギリス人の友人(香料会社の社長)がいます。
今回も展示会場で、最終香料を決定してすぐにフランスの友人に「急ぎで頼みたいことがあるのだけど」と打診すると、
数時間後には「住所を送ってくれ。あと数十分で集荷がくるから」との連絡!!!
数日後には、香料が届いてました。
こういう人には、請求書を何度頼んでも、送ってくれません・・・泣。
どんだけ私は仕合わせもんなんでしょう。
今回も、私が南ドイツで展示をすることをネットで見た私のフォロワーの方が(まだお会いしたこともないのに)、
「近くを案内しますよ」
と申し出てくれたので、甘えて観光をしてきました 笑
しかも私達の専属ドライバーまでしてくれた。
去年も、シンガポールのある婦人が
私に香水の調合を頼みたいと言い出し、
「でもわたし、材料を全くもってないんです」
というと、「何が必要なの? リスト送って」という。
100種以上の香料のリストを送ると、
数週間後には私のもとに届いていました・・・
もちろん請求書は届きません。
少なく見積もっても、数十万の価値はあると思います。
気づいたらこうなっていたわけですが、
私にいったい何が起きているのでしょうか?…笑 わかりません。
私にできるのはただ、
奉仕することだけ。
夢を託してくれた分、期待に応える。いい作品を作る。
できる限り、その人たちに会いに行き、直接御礼をする。お世話になった人への恩は、忘れない。
それだけです。
世の中、特に日本には、
向こうからくる好意をいただくことができない人が意外に多い事に気づきました。
確かに、意外に難しいのです。
「この人には何か下心があるんではなかろうか?」と疑ってしまったり、
「お返しどうしよう」とプレッシャーに感じてしまったり、
「そんなのどうせお恵みなんでしょ、自分を見下さないでよ」とエゴを盾にしてしまったり、
「そんな自分にはもったいなすぎる」と必要以上に卑下したり。
日本独特の遠慮の美学も、邪魔したりします。
好意を堂々といただくには勇気が要ります。
借りを作るわけですから。
もちろん好意の動機を見極める目は必要ですが、
私にはただ単に「私を助けたい」という思いで寄せてくれる好意が多いのです。
好意を受けることは、へり下ることでもなく、へつらうことでもありません。
私はその期待をじぶんのできることで返すため、
ただただ一生懸命仕事し、いい作品を作って、
感謝するだけです。
そうすれば、次に必ず繋がります。
簡単にいうと、「謙虚」に「努力」する、ということですね。
私は少なくともそうやって、周囲の夢と期待を繋いで、
嗅覚アート界でのキャリアをひとつひとつ築きあげてきました。
いきなり有名なアーティストになったわけではありません。
・・・と今日は、いくら請求書を送ってと頼んでも送ってくれない人たちを想いながら
ありがとうの気持ちで書きました。
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