藍の匂い 〜大地の香り〜

今夏の石垣島での10日間のキャンプから戻って来ました。さまざまな出会いや体験がありましたが、その中でもちょっと変わった「匂い」を嗅ぎましたので、その話を。

去年からずっと行きたかった島藍農園。島の伝統的な藍染めをおこなっている工房です。そこで念願の藍染め体験をしてきました。



この工房に惹かれた理由は、原材料となる藍である南蛮駒繋(ナンバンコマツナギ)を一から育てている点です。しかも除草剤などを使わない、オーガニックな手法で。



ナンバンコマツナギ自身は、マメ科の香りがしました。その奥にほんのり小麦粉のような粉っぽい香りが。

聞くと、インド藍の藍とはまったく別の科の植物とか・・・。日本では八重山が北限です。

写真ではわかりませんが、日の当たり方で少し青緑っぽく見える植物です。そういう光沢のある植物であれば、なんでも藍染めができるのかもしれませんね。



藍染めの触媒は、2ヶ月の時をかけて発酵されたもの。発酵を促進させるために、独自に小麦粉や蜂蜜なども入れているとか。パン作りみたいですね (^^)

この触媒の匂いは、土っぽいというかなんというか・・・鉄分ミネラル豊富!とでもいいましょうか。甲殻類の臭みが出る場合もあるそうなのですが、この農園ではそういうことはないとか。



触媒に繰り返し素材を浸し、色のグラデーションを作ります。素材は、リネン(本麻)を使いました。



できあがり。石垣島の海のグラデーションになりました。乾かすと、ふわっと「藍染め」の匂いが風に乗って来ます。ちょっと酸っぱく、苦く、土っぽくもあり、鉄っぽくもあり、薬草っぽくもあり、パンを発酵させた香りっぽくもあり・・・ 表現するとすれば、「大地の香り」。かな?

写真に写っているのは農園主の大濱さん。島と藍への情熱を持っていらっしゃる方で、とても良い出会いとなりました。

「藍染はむかしから、虫がつかないということで、虫除けとして重宝されてきたんですよね。」

そうなんですよね。いちど家を長期で空けたときに虫(蛾)が発生し、ウール製品がことごとく喰われてしまったことがあったのですが、そのときも藍染めの風呂敷の下にあったものは無事だったのです。あとは、ジーンズの下にあったものもセーフ(それ以降さらにジーンズ好きになり、いろいろ買うようになってしまった)。

蛾は、藍の色を見分けるのでしょうか。それとも、匂いを嗅ぎ分けるのでしょうか。どう考えても、後者ですよね。

藍の香りは、洗うと多少は落ちるものの、ずっと残るといわれます。藍染めの匂いのどこかに、虫が嫌がる要素がある。藍染めは、目に美しいだけでなく、香りが機能を持つという、素晴らしい染め方法なのですね〜。

いま私の首で、ふんわりとそのホッとする香りを漂わせてくれています。














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