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iPod やiPadで3D映像が!驚きのi3DGは日本発!多くの来場者が詰め掛けて大人気!
[シネマトゥデイ映画ニュース] オランダで開催中の第40回の記念大会を迎えたロッテルダム国際映画祭で今年、市内に40か所に点在するギャラリーや映画館はもちろん、フィットネスクラブや託児所までをも会場にしたメディアアートのインスタレーションXL(エクストラ・ロケーション)部門が誕生した。その一つに、現地在住の日本人アーティスト上田麻希がゲスト・キュレーターを務めた「Maki Ueda −Palm Top Theater」に連日、多くの来場者が詰め掛けて人気を呼んでいる。
そのアートとはiPod やiPadに、映像制作会社ディレクションズとアーティストの間瀬実郎が共同開発した特殊フード「i3DG」を装着すると手のひらで3D動画を楽しめる。昨年末に発表された、第14回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門にも入選した画期的な立体映像だ。
上田は現在、さまざまなにおいを抽出して人の記憶や創造力を呼び起こすにおいのアーティストの第一人者として活躍しているが、もともとはメディアアートを手掛けていたことからその知識を人脈を生かし、学生を含む28人の作家に声をかけ、計31作品を紹介している。中には、iPodを指で叩いたり、息を吹きかけるなどのアクションを与えると、映像の中の人物が宙に浮いたりする遊び心あふれる仕掛けのある作品もある。
同映画祭は、2008年に映画祭ディレクターに就任したルトガー・ウォルフソンが元々アーティストだった関係から、2009年にはホラー映画特集の際に出品監督たちが内装を手掛けたお化け屋敷を誕生させ、昨年は美術監督の種田陽平が元店舗を活用したアートプロジェクトを行い、映画祭とアートの密接な関係を続けている。それをさらに進化させたのが今年のXL部門で、会期中はレンタルサイクルの貸し出しやお得な市内交通機関の乗り放題パスを販売し、世界各国から集まった映画祭参加者により深くロッテルダムの人と街を知ってもらおうという試みだ。また未来の映画祭の観客である地元の子供たちに向けて、「Not Kidding」と題し、なばたとしたか原作の人気絵本をアニメーション化した「こびと観察入門」が託児所で上映された。
ロッテルダム在住10年になる上田は「この街は特別に何かがあるワケではないし第2次世界大戦でドイツ軍に壊滅的な爆撃を受けた暗い歴史もあり、年に一度の華やかな映画祭は市民の誇りなんです。今回のXL部門のインスタレーションは市から助成金も出ず、アーティストたちは自由参加。でも、街でやっているお祭りだから、皆、リスクを侵してでも参加したいと集まってくれました。今後も、アートを通じて日本とオランダの架け橋となれればと思っています」と語った。
映画祭は2月6日までだが、「Mki Ueda −Palm Top Theater」はロッテルダム市内のV2_Institude for the Unstableで13日まで開催(取材・文:中山治美)
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