公民館で五感のアートを企画する、世界一「いい女」

(↑その「いい女」はココにはいません。ねんのため。最後まで読んでくださいまし。)

今回のEdible Perfume Workshopは、今までにないチャレンジングなワークショップでした。

というのも、参加者の「市民度」がこれまでで最も高かったのです。オーガナイザーである Sensational Mix は、地域とアートのインターベンションを試みるイニシアチブ。単に事務所代が安いからという理由で、移民ばかりのややスラム化しているロッテルダム南部に居を構えているのですが、こんどはそれを逆に利用して、アートのようなハイ・カルチャーと全く関わりのない地域住民向けのワークショップを企画してしまったのです。なんというラディカルさ。

つまり相手は、これまでのアーティな参加者とはわけがちがう。「こんにちは。わたしは、アーティストです。そもそもアーティストってどんなことをする人かというとですね・・・」みたいな話から始めなければいけない。しかも英語よりはオランダ語の方が望ましいわけで、私にとっては難易度が高い。そして、白人的オランダ市民だけならともかく、文化的コンテキストがまったく異なる、スリナムとかトルコとかからの移民も含まれる。

でも、Sensational Mixのアプローチが、じつに冴えていたのです。毎週木曜日、「五感」のどれかをピックアップ、5週間かけて五感すべてをカバーする。これならアートがわからない人でも、「五感」といわれたら入り口に入りやすい。とくに嗅覚は、ふだんの社会的・文化的コンテキストが違っても、コミュニケーションしやすい普遍的な感覚。五感のなかでもいちばん人気だったそうです。



今回のワークショップにあたり、有名な蒸留所 RUTTEが、快くスポンサーになってくれました。オーガニック・ウォッカです。Sensational Mix がスポンサーのお願いメールを送ったところ、じつはここの社長さんがドルドレヒトでのワークショップに参加していたとかで、ふたつ返事でOKが来たとの事。

さて。どうなることやらと思われたワークショップでしたが、さすがに回を重ねてきたからか、無駄な労が減り、ゆったりとした流れの心地よい3時間だったと思います。説明も全て単純化し、主婦感覚の例えを駆使しました。いちばん大変だったのは、おしゃべり好きなオバチャンの話をうまくかわして切り上げることだったかも・・・。








今回は、地元の新聞やテレビが揃って取り上げてくれました。カメラが入ると、会場はとたんに熱気を帯びます。参加者は20人。サイドには、小学生などを含めた25人のギャラリーもいました。

そんな中、よくオランダ語でマイクを通してワークショップを率いたものと、自分でも感心します・・・自分で自分を褒めるようで何ですが。カメラの前でも、オランダ語。ふだんイヤイヤながらオランダ語を使わなければいけない生活も、ここで役に立っているわけで、それがまた自信につながるわけで、人生無駄なことは何も無いというのはこのことなのでしょうね。

落ち着いて全てに取り組めたのは、Sensational Mix のナタリーのおかげでもあると思います。じつは彼女、私がオランダに住むことになった原因の33%くらいを担っている人物。10年ちょい前、実績もなにもない駆け出しのアーティストだった私がしたためていた Hole in the Earth というアイディアを「おもしろい!」と言い出し、作品のプロデュースをしてくれたのです。残りの33%は後に結婚することになった人が原因で、残りの33%は日本の外の世界への興味でした。

その後彼女は、私が文化庁の若手芸術家助成金でオランダに滞在していた時代に「受け入れ先」として、いろんなことを教えてくれました。それこそ、あんなことからこんなことまで(笑)。彼女はキュレータとしてとても才能がありますが、王道のキュレーターの道は歩みたがらず、アートをもっと社会に押し出す、その危うい崖っぷちを選びます。それがまたカッコいいんです。容姿端麗で頭もよく、かつ独創的なセンスと視点を持ち併せ、しかもチャーミングでセクシーな彼女への敬愛は、それ以来ずっと変わりません。当時から彼女は、私の中での「世界でいちばんいい女」ですが、その地位は揺るぎそうにありません。

ここまで書いたら、「ナタリーっていったいどんな女性だろう・・・」と思ってしまいますよね。ご期待に応えましょう。写真右端に映っている黒ずくめの女性です。


ここからの話はほんとうに余談ですが、彼女と出会ったきっかけは、私の大学時代の恩師である藤幡正樹氏がV2(世界的に有名なメディア・アートの組織。ついこの前、私もPalm Top Theater のキュレーションを行った)の常連さんだったこと。V2のとあるイベントの後、みんなでワーっと行った食事の席で、偶然にも隣に座ったのが彼女。当時、V2のディレクターのガールフレンドでした。1999年のことです。

その彼女との出会いにより、オランダに住む事になり、また今こうして一緒に仕事したりするのだから、人との出会いや縁の成せる業におどろくばかりです。

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