アーティスト・サミット京都 2009 お知らせ
まもなく、京都へ旅立ちます。
京都造形芸術大学にて、滞在制作です。「世界アーティスト・サミット2009」に招聘されています。
制作予定作品(新作):
茶道と並んで日本の代表的な伝統芸道「香道」を研究し、世界アーティスト・サミットのテーマに沿ったオリジナル「組香」を創造します。組香とは、源氏物語などの文学をテーマに匂いを楽しみながら推測する、香道のゲームのようなものです。今回発表するのは、匂いを嗅ぎながら、イマジネーションを膨らませるための、ゲーム性とパフォーマンス性を伴ったプレゼンテーションを想定しています。
このサミットは、「アートがいかに世界を救えるか」といった、とても人道的な問いを原点としています。ではアートが世界の諸問題を解決できるか、あるいは解決すべきかというと、私は慎重な立場です。(実際に今、世界の現場で人生をかけて頑張っていらっしゃる方々へのリスペクトからです。)
その上で敢えて「匂いのアーティスト」という立場の私が提案するとすれば、ただひとつ。嗅覚への意識の喚起です。匂いは、ものすごいパワーを持っています。ある匂いによって突然、意識が時空を超えたり、引き出しに仕舞われていた記憶が顔を覗かせたり、という体験をしたことはありませんか? 匂いを嗅いで気持悪くなって吐くことはありますが、電子メールを読んで吐くことはありません。匂いはとてもパワフルなメディウムなのです。匂いに意識を向け、嗅覚を鋭敏にすることにより、世界の隅々に起こっていることへの私達の想像力をもっともっと鍛えることができるのではないか、と考えるのです。
そこで日本の誇るべき伝統である「香道」を形式として拝借し、サミットのテーマのもとで「組香」を創造し、それを12/19, 20 のサミットにて発表する予定です。制限時間が17分と短いので、伝統的な香道と比べるとかなり簡略なものになるでしょう。使う道具も香りも、世界各地から私が集めたものであったり、自ら調合したものだったりしますので、香道の常軌からは逸しているかもしれません。香を聞かせる相手も日本人に限ることもなく、国籍も人種も問いません。言葉が通じない相手と共に匂いを嗅ぎ、地球の反対側への意識と想いを共有する。そんな場を提供するところにゴールを定めています。
*これと平行して、過去の作品の中から一作品、ギャルリー・オーブにて展示する予定です。
eau de parfum PERFECT JAPANESE WOMAN (2008)
以下、私が参加する3つの公開プログラムをご紹介します。
世界アーティスト・サミットHP
http://www.artists-summit.org/
会場までのアクセス
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(1) ASK2009 アーティスト・イン・レジデンス
期間:2009年12月7日(月)-18日(金)
場所:京都造形芸術大学ギャルリ・オーブほか学内、および京都市内
今回から始まったASK2009の新プログラム。世界から集まった6名のアーティストたちが京都に約2週間滞在し、それぞれの専門分野を活かしながら、大学生、高校生、市民と共に、パフォーマンス、プロジェクト、レクチャー、ワークショップなどを行い、その体験を問題解決策の提案につなげます。
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(2) ASK2009-未来との対話
日時:2009年12月19日(土) 13:30-18:40
場所:京都造形芸術大学「春秋座」
定員:860名 通訳:逐次(日・英・タイ)
参加費:無料 事前申込不要
タイムテーブル 13:30-13:40 開会の挨拶:横内敏人(京都造形芸術大学副学長)
13:40-15:40 プレゼンテーション1「ASK2009アーティスト・イン・レジデンスの現場から」
16:00-16:40 プレゼンテーション2「若い世代が提案するアート、デザインの可能性」
16:40-17:00 休憩
17:00-18:30 オープンディスカッション「アーティストは世界を変えられるか?」
18:30-18:40 終了挨拶:大野木啓人(京都造形芸術大学芸術学部長)
プレゼンテーション1 ASK2009アーティスト・イン・レジデンスの現場から
ASK2009アーティストが、12日間の京都でのアーティスト・イン・レジデンス期間中に行ったさまざまな活動と、その成果について報告します。
出演者:ハーヴェイ・ボータース、ピチェ・クランチュン、ナリン・チャミンダ・ミーマナージ、ケン・シャレム、上田麻希、マルジェット・ウェッセルス・ボア
プレゼンテーション2 若い世代が提案するアート、デザインの可能性
「全国高等学校デザイン選手権大会」優秀校3校9名の高校生と、アート、デザインを学ぶ大学生から選ばれたスチューデント・アーティストたちが、社会をより良くする提案をプレゼンテーションし、アート、デザインがもつ可能性を若い視点から発信します。
オープンディスカッション「アーティストは世界を変えられるか?」
参加アーティスト、高校生、大学生が一同に会し、アーティストが世界を変えられるかについて、会場も巻き込みディスカッションを行います。
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(3) ASK2009−明日への跳躍
日時:2009年12月20日(日) 10:00-18:30
場所:京都造形芸術大学 ギャルリ・オーブ(人間館1F)
定員:200名 通訳:逐次通訳(日・英・オランダ・シンハラ・タイ)
参加費:無料 事前申込不要
タイムテーブル 総合司会:浅田彰
10:00-12:00 コアミーティング-Phase1
12:00-13:00 昼食
13:00-13:20 主催者挨拶:門川大作(京都市長)
千住博(日本画家、京都造形芸術大学学長)
13:20-15:20 コアミーティング-Phase2
15:20-15:40 休憩
15:40-16:40 招待講演:クシシュトフ・ヴォディチコ(現代美術家、ASK2007参加アーティスト)
16:40-16:50 休憩
16:50-18:20 パネルディスカッション「京都国際芸術祭の可能性を探る」
18:20–18:30 閉会の挨拶:徳山詳直(京都造形芸術大学理事長)
ASK2009 コアミーティング
Phase1では、ASK2009アーティストが世界の問題に対する解決策のプレゼンテーションを行い、その後Phase2ではPhase1で発表された解決策をベースに、オーディエンスも交え、世界の問題解決への議論を行います。
出演者:ハーヴェイ・ボータース、ピチェ・クランチュン、ナリン・チャミンダ・ミーマナージ、ケン・シャレム、上田麻希、マルジェット・ウェッセルス・ボア
議長:宮島達男
招待講演者
クシシュトフ・ヴォディチコ
現代美術家、マサチューセッツ工科大学先端視覚研究所ディレクター
1943年ポーランド生まれ、アメリカ在住
1968 年ワルシャワ美術アカデミー修士課程修了。ポーランドからカナダ、カナダからアメリカへ2回の移住経験をもつ。1980年以降、公共建築物、モニュメントへのパブリック・プロジェクションなどを通して、戦争、ホームレスなど、社会問題に焦点を当てた作品を発表し続けている。ヴェネチア、サンパウロ、光州、横浜、ドキュメンタ等国際芸術展へ多数出品。1999年「第4回ヒロシマ賞」受賞。2009年「ヴェネチア・ビエンナーレ」ポーランド代表。 2007年第2回世界アーティストサミット参加。
パネルディスカッション「京都国際芸術祭の可能性を探る」
「アート、デザインを通じての地球再生」をテーマに、京都だからこそ可能な先鋭的な文化発信となる「京都国際芸術祭」の可能性を探ります
パネリスト:北川フラム(アートディレクター)、辛美沙(アートフェア東京エグゼクティブディレクター)、堀場厚(株式会社堀場製作所代表取締役会長兼社長)、千住博
モデレーター:浅田彰(京都造形芸術大学大学院長)
ASK 2009 アーティスト:
ハーヴェイ・ボータース
1981年オランダ生まれ
ベルギー在住ファッションデザイナー
南アメリカにルーツを持つハーヴェイ・ボータースは、オランダでファッションを勉強した後、18歳でベルギー・アントワープに移り、ベルギー人デザイナーとして仕事を始めた。その後、ファッションの領域を超えた仕事を始めるため、自分の作品を紹介するプラットフォームとして、ブランド「HrVi」を立ち上げ、さまざまなプロジェクトを行ってきた。彼は、コレクションを作るのではなく、メッセージ性のある雰囲気を表現するシルエットを創るために布を使う。彼は、早い時期から、壊れやすい身体を守ることへ強い関心を示してきた。また、個人的に、アフリカと南アメリカの文化へも関心を持ち、彼らの文化を何年も学んだ後、身体を読み取るだけでなく、守るシルエットを創り出した。彼はまた、主にオランダとベルギーで展覧会を行いながら、さまざまな国際的プロジェクトとコラボレーションしている。
ピチェ・クランチュン
1971年 タイ生まれ
タイ在住舞踏家/振付家
ピケット・クランチュンは、伝統的なタイ舞踊と現代的な感性に架け橋をかけるパフォーマーとして活動している。彼は16歳からタイの伝統的仮面舞踊である「コーン」を習い、バンコクのチュラロンコン大学でタイの伝統舞踊の学位を取得した。その後、ダンサー・振付家として劇場経験を積みつつ、コンテンポラリーダンスも踊るようになった。近年彼は、タイ舞踏家の代表として、またアジアとヨーロッパにおいては国際的なダンサー・振付家として、さまざまな異文化間のパフォーミングアートプログラムに参加している。2008年には欧州文化財団からマルグリエット王女賞を受賞した。
ナリン・チャミンダ・ミーマナージ
1978年 スリランカ生まれ
スリランカ在住映画監督
ナリン・チャミンダ・ミーマナージは、現在、映画監督、脚本家、国際的非政府組織に関わる指導者として活動している。彼はこれまで環境に負担をかけない農業システムのプログラム策定に関わってきた。彼はまた、経験を積んだファシリテーターであり、コーディネーターでもある。彼はファブリチオ・コスタ(イタリア)やディーパ・メウタ(カナダ)といった優れた監督たちの下で仕事を始め、数多くのテレビコマーシャルやドキュメンタリー、ショートフィルムを制作した。映画界での経験は6年以上になる。彼が監督をしたショートフィルムである「SAPATHTHU KUTTAMA (一足の靴)」は国内外で数多くの賞を受賞した。
ケン・シャレム
1977年 イスラエル生まれ
アメリカ在住映画監督
ケン・シャレムは北イスラエルのキブツ、ニル・デーヴィッドで育ち、その後、兵役に付き、不発弾処理班で働いたが、レバノンでの戦闘で重傷を負った。その後、彼は物理学を学び、バル=イラン大学で学士を、ウェズマン科学研究所で修士を修める。が、徐々に人間の感情と芸術的創造への関心を更に発展させたいと思うようになり、フロリダ・イスラエル財団から奨学金を得て、フロリダ州立大学で映画製作の修士号を取得した。卒業前に完成させたショートフィルム「テルアビブへと続く道」は、世界中のフィルムフェスティバルで上演され、パームスプリング映画祭「観客賞」などいくつかの国際的な賞を獲得した。
上田麻希
1974年 日本生まれ オランダ在住
アーティスト(香りをメディアとした)
嗅覚とアートの融合を試み、匂いをメディウムとして作品を制作するアーティスト。慶応義塾大学環境情報学部(1997年卒業)、同大学院政策メディア研究科修士課程(1999年修了)でメディア・アートを学ぶ。2007年、南仏グラースの調香師養成学校にてサマー講習修了。2000年、文化庁若手芸術家在外研修員でオランダに、2007年、ポーラ芸術財団若手芸術家在外研修員でオランダ、ベルギーに滞在。現在はオランダに拠点を置き、世界中で様々な嗅覚のアート作品を精力的に発表している。
マルジェット・ウェッセルス・ボア
1978年 オランダ生まれ
オランダ在住プロダクトデザイナー
マルジェット・ウェッセルス・ボアは、リートフェルトアカデミー卒業後、2001年にスタジオをオープンした。もともと彼女は、収納スペースがある厚いドア、読書中に暖めてくれる照明やクロゼットの中で踊るハンガーなど、機能と戯れるような独特の製品をデザイン、制作していた。近年、彼女は公共空間のためのデザインをするようになり、ユニークでありつつ、全ての人がアクセスできる作品を作る可能性を見出した。2007年には「沈むテーブル(Sunk table)」、2008年には暗い建物を常に明るくする作品「影の床(Shadow floor)」を制作。現在はアムステルダムでいくつかのプロジェクトを実施中。
企画監修・議長
宮島達男
1957年、東京生まれ。東京藝術大学修士課程終了。
80年より作品を発表しはじめ、88年には「第43回 ヴェネツィア・ビエンナーレ アペルト'88」に招聘され高い評価を受ける。以降、大型国際展などで活躍、世界各地で個展・グループ展を開く。発光ダイオード(LED)のデジタルカウンターを使用した思索的な作品で知られる。現在、京都造形大学国際藝術研究センター客員教授、東北芸術工科大学副学長/デザイン工学部長。
京都造形芸術大学にて、滞在制作です。「世界アーティスト・サミット2009」に招聘されています。
制作予定作品(新作):
茶道と並んで日本の代表的な伝統芸道「香道」を研究し、世界アーティスト・サミットのテーマに沿ったオリジナル「組香」を創造します。組香とは、源氏物語などの文学をテーマに匂いを楽しみながら推測する、香道のゲームのようなものです。今回発表するのは、匂いを嗅ぎながら、イマジネーションを膨らませるための、ゲーム性とパフォーマンス性を伴ったプレゼンテーションを想定しています。
このサミットは、「アートがいかに世界を救えるか」といった、とても人道的な問いを原点としています。ではアートが世界の諸問題を解決できるか、あるいは解決すべきかというと、私は慎重な立場です。(実際に今、世界の現場で人生をかけて頑張っていらっしゃる方々へのリスペクトからです。)
その上で敢えて「匂いのアーティスト」という立場の私が提案するとすれば、ただひとつ。嗅覚への意識の喚起です。匂いは、ものすごいパワーを持っています。ある匂いによって突然、意識が時空を超えたり、引き出しに仕舞われていた記憶が顔を覗かせたり、という体験をしたことはありませんか? 匂いを嗅いで気持悪くなって吐くことはありますが、電子メールを読んで吐くことはありません。匂いはとてもパワフルなメディウムなのです。匂いに意識を向け、嗅覚を鋭敏にすることにより、世界の隅々に起こっていることへの私達の想像力をもっともっと鍛えることができるのではないか、と考えるのです。
そこで日本の誇るべき伝統である「香道」を形式として拝借し、サミットのテーマのもとで「組香」を創造し、それを12/19, 20 のサミットにて発表する予定です。制限時間が17分と短いので、伝統的な香道と比べるとかなり簡略なものになるでしょう。使う道具も香りも、世界各地から私が集めたものであったり、自ら調合したものだったりしますので、香道の常軌からは逸しているかもしれません。香を聞かせる相手も日本人に限ることもなく、国籍も人種も問いません。言葉が通じない相手と共に匂いを嗅ぎ、地球の反対側への意識と想いを共有する。そんな場を提供するところにゴールを定めています。
*これと平行して、過去の作品の中から一作品、ギャルリー・オーブにて展示する予定です。
eau de parfum PERFECT JAPANESE WOMAN (2008)
以下、私が参加する3つの公開プログラムをご紹介します。
世界アーティスト・サミットHP
http://www.artists-summit.org/
会場までのアクセス
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(1) ASK2009 アーティスト・イン・レジデンス
期間:2009年12月7日(月)-18日(金)
場所:京都造形芸術大学ギャルリ・オーブほか学内、および京都市内
今回から始まったASK2009の新プログラム。世界から集まった6名のアーティストたちが京都に約2週間滞在し、それぞれの専門分野を活かしながら、大学生、高校生、市民と共に、パフォーマンス、プロジェクト、レクチャー、ワークショップなどを行い、その体験を問題解決策の提案につなげます。
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(2) ASK2009-未来との対話
日時:2009年12月19日(土) 13:30-18:40
場所:京都造形芸術大学「春秋座」
定員:860名 通訳:逐次(日・英・タイ)
参加費:無料 事前申込不要
タイムテーブル 13:30-13:40 開会の挨拶:横内敏人(京都造形芸術大学副学長)
13:40-15:40 プレゼンテーション1「ASK2009アーティスト・イン・レジデンスの現場から」
16:00-16:40 プレゼンテーション2「若い世代が提案するアート、デザインの可能性」
16:40-17:00 休憩
17:00-18:30 オープンディスカッション「アーティストは世界を変えられるか?」
18:30-18:40 終了挨拶:大野木啓人(京都造形芸術大学芸術学部長)
プレゼンテーション1 ASK2009アーティスト・イン・レジデンスの現場から
ASK2009アーティストが、12日間の京都でのアーティスト・イン・レジデンス期間中に行ったさまざまな活動と、その成果について報告します。
出演者:ハーヴェイ・ボータース、ピチェ・クランチュン、ナリン・チャミンダ・ミーマナージ、ケン・シャレム、上田麻希、マルジェット・ウェッセルス・ボア
プレゼンテーション2 若い世代が提案するアート、デザインの可能性
「全国高等学校デザイン選手権大会」優秀校3校9名の高校生と、アート、デザインを学ぶ大学生から選ばれたスチューデント・アーティストたちが、社会をより良くする提案をプレゼンテーションし、アート、デザインがもつ可能性を若い視点から発信します。
オープンディスカッション「アーティストは世界を変えられるか?」
参加アーティスト、高校生、大学生が一同に会し、アーティストが世界を変えられるかについて、会場も巻き込みディスカッションを行います。
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(3) ASK2009−明日への跳躍
日時:2009年12月20日(日) 10:00-18:30
場所:京都造形芸術大学 ギャルリ・オーブ(人間館1F)
定員:200名 通訳:逐次通訳(日・英・オランダ・シンハラ・タイ)
参加費:無料 事前申込不要
タイムテーブル 総合司会:浅田彰
10:00-12:00 コアミーティング-Phase1
12:00-13:00 昼食
13:00-13:20 主催者挨拶:門川大作(京都市長)
千住博(日本画家、京都造形芸術大学学長)
13:20-15:20 コアミーティング-Phase2
15:20-15:40 休憩
15:40-16:40 招待講演:クシシュトフ・ヴォディチコ(現代美術家、ASK2007参加アーティスト)
16:40-16:50 休憩
16:50-18:20 パネルディスカッション「京都国際芸術祭の可能性を探る」
18:20–18:30 閉会の挨拶:徳山詳直(京都造形芸術大学理事長)
ASK2009 コアミーティング
Phase1では、ASK2009アーティストが世界の問題に対する解決策のプレゼンテーションを行い、その後Phase2ではPhase1で発表された解決策をベースに、オーディエンスも交え、世界の問題解決への議論を行います。
出演者:ハーヴェイ・ボータース、ピチェ・クランチュン、ナリン・チャミンダ・ミーマナージ、ケン・シャレム、上田麻希、マルジェット・ウェッセルス・ボア
議長:宮島達男
招待講演者
クシシュトフ・ヴォディチコ
現代美術家、マサチューセッツ工科大学先端視覚研究所ディレクター
1943年ポーランド生まれ、アメリカ在住
1968 年ワルシャワ美術アカデミー修士課程修了。ポーランドからカナダ、カナダからアメリカへ2回の移住経験をもつ。1980年以降、公共建築物、モニュメントへのパブリック・プロジェクションなどを通して、戦争、ホームレスなど、社会問題に焦点を当てた作品を発表し続けている。ヴェネチア、サンパウロ、光州、横浜、ドキュメンタ等国際芸術展へ多数出品。1999年「第4回ヒロシマ賞」受賞。2009年「ヴェネチア・ビエンナーレ」ポーランド代表。 2007年第2回世界アーティストサミット参加。
パネルディスカッション「京都国際芸術祭の可能性を探る」
「アート、デザインを通じての地球再生」をテーマに、京都だからこそ可能な先鋭的な文化発信となる「京都国際芸術祭」の可能性を探ります
パネリスト:北川フラム(アートディレクター)、辛美沙(アートフェア東京エグゼクティブディレクター)、堀場厚(株式会社堀場製作所代表取締役会長兼社長)、千住博
モデレーター:浅田彰(京都造形芸術大学大学院長)
ASK 2009 アーティスト:
ハーヴェイ・ボータース
1981年オランダ生まれ
ベルギー在住ファッションデザイナー
南アメリカにルーツを持つハーヴェイ・ボータースは、オランダでファッションを勉強した後、18歳でベルギー・アントワープに移り、ベルギー人デザイナーとして仕事を始めた。その後、ファッションの領域を超えた仕事を始めるため、自分の作品を紹介するプラットフォームとして、ブランド「HrVi」を立ち上げ、さまざまなプロジェクトを行ってきた。彼は、コレクションを作るのではなく、メッセージ性のある雰囲気を表現するシルエットを創るために布を使う。彼は、早い時期から、壊れやすい身体を守ることへ強い関心を示してきた。また、個人的に、アフリカと南アメリカの文化へも関心を持ち、彼らの文化を何年も学んだ後、身体を読み取るだけでなく、守るシルエットを創り出した。彼はまた、主にオランダとベルギーで展覧会を行いながら、さまざまな国際的プロジェクトとコラボレーションしている。
ピチェ・クランチュン
1971年 タイ生まれ
タイ在住舞踏家/振付家
ピケット・クランチュンは、伝統的なタイ舞踊と現代的な感性に架け橋をかけるパフォーマーとして活動している。彼は16歳からタイの伝統的仮面舞踊である「コーン」を習い、バンコクのチュラロンコン大学でタイの伝統舞踊の学位を取得した。その後、ダンサー・振付家として劇場経験を積みつつ、コンテンポラリーダンスも踊るようになった。近年彼は、タイ舞踏家の代表として、またアジアとヨーロッパにおいては国際的なダンサー・振付家として、さまざまな異文化間のパフォーミングアートプログラムに参加している。2008年には欧州文化財団からマルグリエット王女賞を受賞した。
ナリン・チャミンダ・ミーマナージ
1978年 スリランカ生まれ
スリランカ在住映画監督
ナリン・チャミンダ・ミーマナージは、現在、映画監督、脚本家、国際的非政府組織に関わる指導者として活動している。彼はこれまで環境に負担をかけない農業システムのプログラム策定に関わってきた。彼はまた、経験を積んだファシリテーターであり、コーディネーターでもある。彼はファブリチオ・コスタ(イタリア)やディーパ・メウタ(カナダ)といった優れた監督たちの下で仕事を始め、数多くのテレビコマーシャルやドキュメンタリー、ショートフィルムを制作した。映画界での経験は6年以上になる。彼が監督をしたショートフィルムである「SAPATHTHU KUTTAMA (一足の靴)」は国内外で数多くの賞を受賞した。
ケン・シャレム
1977年 イスラエル生まれ
アメリカ在住映画監督
ケン・シャレムは北イスラエルのキブツ、ニル・デーヴィッドで育ち、その後、兵役に付き、不発弾処理班で働いたが、レバノンでの戦闘で重傷を負った。その後、彼は物理学を学び、バル=イラン大学で学士を、ウェズマン科学研究所で修士を修める。が、徐々に人間の感情と芸術的創造への関心を更に発展させたいと思うようになり、フロリダ・イスラエル財団から奨学金を得て、フロリダ州立大学で映画製作の修士号を取得した。卒業前に完成させたショートフィルム「テルアビブへと続く道」は、世界中のフィルムフェスティバルで上演され、パームスプリング映画祭「観客賞」などいくつかの国際的な賞を獲得した。
上田麻希
1974年 日本生まれ オランダ在住
アーティスト(香りをメディアとした)
嗅覚とアートの融合を試み、匂いをメディウムとして作品を制作するアーティスト。慶応義塾大学環境情報学部(1997年卒業)、同大学院政策メディア研究科修士課程(1999年修了)でメディア・アートを学ぶ。2007年、南仏グラースの調香師養成学校にてサマー講習修了。2000年、文化庁若手芸術家在外研修員でオランダに、2007年、ポーラ芸術財団若手芸術家在外研修員でオランダ、ベルギーに滞在。現在はオランダに拠点を置き、世界中で様々な嗅覚のアート作品を精力的に発表している。
マルジェット・ウェッセルス・ボア
1978年 オランダ生まれ
オランダ在住プロダクトデザイナー
マルジェット・ウェッセルス・ボアは、リートフェルトアカデミー卒業後、2001年にスタジオをオープンした。もともと彼女は、収納スペースがある厚いドア、読書中に暖めてくれる照明やクロゼットの中で踊るハンガーなど、機能と戯れるような独特の製品をデザイン、制作していた。近年、彼女は公共空間のためのデザインをするようになり、ユニークでありつつ、全ての人がアクセスできる作品を作る可能性を見出した。2007年には「沈むテーブル(Sunk table)」、2008年には暗い建物を常に明るくする作品「影の床(Shadow floor)」を制作。現在はアムステルダムでいくつかのプロジェクトを実施中。
企画監修・議長
宮島達男
1957年、東京生まれ。東京藝術大学修士課程終了。
80年より作品を発表しはじめ、88年には「第43回 ヴェネツィア・ビエンナーレ アペルト'88」に招聘され高い評価を受ける。以降、大型国際展などで活躍、世界各地で個展・グループ展を開く。発光ダイオード(LED)のデジタルカウンターを使用した思索的な作品で知られる。現在、京都造形大学国際藝術研究センター客員教授、東北芸術工科大学副学長/デザイン工学部長。
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