胡椒

胡椒。それは台所に欠かせない、最もよく使われる香辛料ではないでしょうか。よく行くオーガニック・スーパー De Groene Passage の季刊誌に、胡椒に関する興味深い特集記事がありました。オランダ語から翻訳してここに引用します。

オランダの言い回しと台所から分ち難い、胡椒というもの
- Iemand iets inpeperen... Een gepeperde rekening ... Dat is peperduur...-

当時まだかつて未知のものだった香辛料を追い求めるため、出生地のベネチアを発ったのは、冒険家マルコ・ポーロだった。列強国がそれらを争うようになったのはその後間もなくのことで、不公平な競争の歴史が始まることになる。ポルトガル・英国・オランダ・フランスは、時に傭兵を使いながら、お互いの交易に干渉し合った。巨大な富を稼ぐためである。胡椒は単なる実であるだけでなく、「peperduur(胡椒のように高い)」という言い回しさえ生まれるほど高価なものであった。

黒・白・緑・赤
胡椒には大きく3つの種類が存在する。黒・白・緑である。赤い胡椒をよく見かけることがあるが、正確には胡椒ではない。ブラジルやモーリシャスによく植生する木の実である。
胡椒にはpiperineという非揮発性の成分が4.5〜5.5%含有されており、これがいわゆる胡椒の辛みを与える。そしてエッセンシャル・オイル成分が2%程度含有されており、胡椒を轢くときに香るのがこれである。その他、澱粉質(zetmeel)が大部分を占める。轢き具合が風味の決定打になるので、なるべく細かく轢いた方が料理に均等に配分されて良いとされている。

白胡椒
白胡椒は胡椒としての全体的な質を持ち合わせた、成熟した実である。世界でも最も質の高い白胡椒の産地は、インドネシアのバンカ地方である。気候の条件が揃えば、1年で2回の収穫を望むことができる。主な収穫時は7月・8月で、その合間の1月にも収穫がある。インドネシア産の白胡椒は世界のシェアの75%を占める。成熟した白胡椒の実は、5日〜7日間流水に浸されたあと、皮が洗い流され、白い実が現れる。

黒胡椒
黒胡椒は白胡椒・緑胡椒と同じ木の実のことを指す。黒胡椒の場合、皮は洗い流さず、発酵させる。そのため味は白胡椒に比べて力強い。インドが主な産地で、現地では白胡椒はめったに実用されないほどである。黒胡椒の場合は、石やゴミを取り払うのに細心の注意が払われている。黒い色の中にそれらが紛れやすいからだ。

緑胡椒
緑の種類は、まだ成熟する前の実を収穫し、乾燥させるか保存処理したものである。白や黒と比べると、風味は劣る。緑胡椒は、より熟したもの、実の中に固い核が残っていないものほどよいとされている。風味は少し酸味のあるものがよい。

では唐辛子は?
唐辛子は胡椒とは違う種であるSolanum種に属す。コロンバスは胡椒を探す旅において偶然にも、胡椒よりさらに辛いこの唐辛子をメキシコで発見した。彼はこれを船に積んで持ち帰り、「スパニッシュ・ペパー」としてアフリカ・インド・そして東南アジアの食卓に広めたのである。

ボルネオ島の原住民イバン族は、胡椒の花をオイルに浸し、香水を作ります。爽やかなフローラルの中に、少し胡椒に似た匂いがするのが特徴で、私の最もお気に入りの香水です。最近切らしてしまいました。また買いに行きたいほどです。

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