エアロ・スカルプチャー〜空気の彫刻〜 メイキング
制作プロセス:
最初はさまざまにドライアイスでの蒸散実験から始めた。椎茸の出汁をドライアイスで蒸散させると森の香りがし、昆布出汁は海の香りがした。ドライアイスは香りを大気(+- 20度)よりかなり低い温度(−70度)で蒸散してくれるため、同じ香りでも我々の普段の認識とはまったく異なる。双方の出汁がふんだんに使われる古来の日本料理は、森と海を概念的に表現しているのだとそのときに理解した。
次に、調香。お香の燃焼温度は800-1000度であり、蒸散の仕組みも違うし、温度差が大きいため、液体香料でそれを表現するのは至難の技だった。結果としては沈香のアコードを中心に、白檀、パチュリなど焚香に使われる香料を使用して組み立てた。その上で、大量にスモークを出すためにローワー・フォグマシン(ADJ Mister Kool II)を使用するため、水性フォグリキッド用に調整した。
作家名:MAKI UEDA
– 香りで説明不要な体験を創出する嗅覚芸術家 –
アートと嗅覚の融合を試みる、「匂いのアーティスト」。新しいアートとして注目を集める世界の「嗅覚アート」のシーンを率いるひとり。匂いと記憶・本能に関する作品を数々発表し、近年は空間・ムーブメント・そして嗅覚のクロスオーバーする領域において環境インスタレーションを制作。2022年嗅覚アート最高峰の国際賞であるアート・アンド・オルファクション・サダキチアワード受賞。www.ueda.nl
会場:京都嵐山芸術祭/嵐山辨慶
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