嗅覚アート研究所 サロン 2019.7.7.


「嗅覚アート研究所」として先週末、東京にて「サンデー・ブランチ」お話会を開催しました。そこでお話した内容のメモを、シェアします!
https://peatix.com/event/create2/729189/edit#/advanced


@秋葉原、神田万世橋マーチエキュート フクモリカフェ
参加者3名: "P"と記載
Maki: "M"と記載


P
香りの記録ってできるのか? 例えばおばあちゃんの家の匂いの記録はできるのか

できるといえばできる。yes and no.
この質問は、とにかくよく耳にする。
何をもって記録とするのかは
どうやって再現するのか、
何をもって「再現された」と言うのかによるのではないかな
どう思う?

P
香りを嗅いでいる情景が思い浮かべば再現となるかも

そのものを忠実に再現することは難しいかもしれないから、何かの一部の匂いがきっかけで、家の匂いを思い出せばいいのかもしれない

匂いの記録も、匂いの通信についても、本質は同じなんだけど、
じゃあむしろ、数兆円かけて、デバイスを作ったとして
それも不可能ではないかもしれないけど
再現して意味のある匂いって何?
何の匂いを送りたい?

この箱に匂いを入れたら、あっち側に届くよ!って
人間の夢だよね。

それだけ価値のある匂いってあるの?
そこが問題。
でも、それを問うのは、むしろアートかもよ

匂いは、とてもマテリアリスティックなもの
嗅覚と味覚はケモセンス、あとは物理的な感覚

認知症のおばあちゃんに匂いを嗅いでもらって
匂いを認識してもらえるかは、お医者さんにもわからないはず
個々のケースで違う
やってみれば?
老いと嗅覚の関係性:神経回路の老化が関与してるかも
ランダムに無差別にとてもたくさん嗅がせたら、きっかけがあるかも
スポーツしていたら老化は防げる
嗅覚だけでなくね

嗅覚の役割
ここ数百年で急激に変化した
嗅覚にはもっとたくさんの審美的な能力が潜む
視覚はだいぶ発達してしまった
万人がインスタグラムを使って写真家になれる時代

化学的な香りと自然な香りがある中で、化学的な香りをシャットアウトする方法はあるか?

M
↑定義は何?
合成香料の中で、自然界に存在しない成分って、ほんのわずかだよ
ほとんどは、成分のかけあわせ
匂いを嗅ぐと、どうしても天然にしか思えないものもある

P
香りと毒性
その香りを嗅ぐと死んじゃう、みたいなのはあるか?

M
匂いは、自然界の代謝の産物だし、生きるための信号だけど、
ヒト科へ本来向けられたものはそうそうないはず。
植物の香りはだいたいが、ハチとか蛾とかに向けられたもの
あるいは身を守るために産出されたもの
ヒトはマンゴーの受粉とか手伝ってあげてるのにね…
それほど進化したものは多分ない。むしろあったらこわい笑

私たちは自然の恩恵を受けているということを忘れてはいけない。
むやみに「香りは天然がいいよね」とか、言って
本来植物や虫たちのために作られた香りを大量消費する人間。
エコではなく、エゴ

P
洗濯物のむわっとした匂いって何? 

M
細菌の香り
死滅させるにはどうしたらいいと思う?

P
洗濯物の太陽の香りが好き。あれって何?

M
それはパーソナルな感想であり表現では?私の洗濯物は「潮の香り」がする
あとは洗剤、綿など
因数分解の必要あり
嗅覚にはフォーカスがなく
全体として嗅ぐので
そこは視覚や聴覚とちょっと違う

環境臭 閾値によりかげなくなる
1ヶ月くらい経てば、嗅げるよ
嗅覚の細胞、1ヶ月で入れ替わるから
石垣島の潮の香りも、2週間だとわからないけど、
3週間離れてれば懐かしいと思う

…話がすすみ、
「city scape 系の作品はとりあえず初心者はみんな作る」という話題に。

バラの花を、洋画で描くか日本画で描くか
独自の手法とリアライゼーションをコンセプトの中心とするべき
バラの花を特別なものとするな

P
匂いの良い悪い、いつ獲得するのか

M
親の刷り込みがほとんどでは
赤ちゃんはうんこを食べてしまう
例えばゴキブリを知らない北海道の人はゴキブリに過剰反応しない

コメント

Nao さんのコメント…
刺激的なサンデーブランチサロンをありがとうございました!
ちょっとした疑問や雑談から夢のある作品案へと昇華されていく過程に立ち会えたことが、とても嬉しいです。

あの後、「ヒトと植物の特別な関係」の作品案について考えて、ふと思ったのが、他の生物に対して幻覚作用を持つ植物で、匂いのするものは多いけれども、それは植物自身が身を守るためなのか、誘うためなのか、、、ということです。
ヒト科のみに向けられた匂いは思いつかないですよね、、、。
ただ、フルーツなどの木の実は、哺乳類などに食べてもらうことによって遠くまでタネを運んでもらうため、哺乳類を惹きつける匂いをもっているのでは、とは思います。ヒト科「のみ」に向けた匂いではありませんが、、、ヒト科「にも」向けた匂いではあるのかなと。
「共進化」という考え方からすると、植物がそこまで進化していないとも考えられますが、ヒトがヒト固有に働きかける植物を持つまでに特殊な進化をしていない、と考えることも出来ると思います。
そういう意味で最近気になっているのは、ハチの登場の前に進化したとされる、モクレン属(Magnolia)の香りです。

サンデーブランチサロンで「源氏物語」について伺おうと思っていたのに、話が盛り上がりすぎて聞き逃してしまったことが悔やまれます!フレグランスアートクラスの個人セッションの時間に伺います。よろしくお願い致します。