嗅覚のための迷路 vol. 1 (コンセプト・テキスト)


着々と準備を進めております、渋谷アツコバルーでの展示。コンセプト・テキストが書き上がりました。

来週(水)19:00〜オープニングです! 14日(土)のWSも募集を開始しています。嗅覚の空間指向性についての実験をたくさん行います。少人数の枠なので、ぜひご予約ください。

http://www.atsukobarouh.com/


9/14(土)17:00~19:00
Maki UEDAワークショップ
「犬のように空間を探る」vol.2
15名限定(¥1,500/メールにて要予約: ab@l-amusee.com )

犬のように空間を探る vol.2〜嗅覚と空間認識〜
人間の鼻には意味なくふたつの穴があるわけではありません。右に左に移動しながらクンクンすると、意外に空間内の「匂いのモト」を探知することができるんです。このWSではこのような「嗅覚のステレオ体験」をしていただきます。

*香水はつけてこないで下さいね!

*満腹の状態でのご参加はご遠慮ください。(嗅覚が働きません)

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[コンセプト・テキスト]

嗅覚のための迷路 vol. 1
Maki UEDA

■概要 - move, smell, and sense -

見かけは天井からグリッド状に小瓶がぶら下がっているだけの空間ですが、実際は「鼻で探検する」ために計算して作られた、匂いの空間です。

小瓶の中には、香料が入っています。紐がそれを吸い上げ、ゆっくりと香りを空間に蒸散させます。紐までの距離が20cmくらいであれば匂いがわかるように、濃度を調整してあります。

それぞれの紐の間は、40~50cmくらい。その間をちょうど人ひとりが通り抜けられるような間隔です。通り抜けるときに、ふんわりと漂う香りが嗅げるはず。

いわば小さな「匂いの迷路」です。2、3種類の香りを用い、単一の香りを辿って進めるか・・・といった、遊び感覚、そして嗅覚テスト的な空間でもあります。

オセロ盤のように「白」と「黒」の香りのエリアを作ることもできますし、よく子どもがやる○×ゲーム(○や×を一列に並べるようにマスを埋めて行くゲーム)のように一本のラインにすることもできます。

香りと配列に関しては、これが最終形というものを追求するのでなく、常にクリティカルに実験を重ねていきたい。つまり、新たな遊びを体験者(被験者)の方々と共に生み出すためのプラットフォーム、と捉えています。

■テーマ

主役は、香りではなく、嗅覚体験です。「匂いのインスタレーション」となると、どんな香りかとか、どのような記憶や感情に訴えて、といった点に焦点が行きがちなのですが、今回はそこを重用視していません。

香りはすべて、もともとはニュートラルなものです。それを知覚し、脳の中でプロセスし、「これは好きだな/嫌いだなと」とか、「あのとき嗅いだ香りだな」などの判断を下すのは、当然のことながら来場者自身。私の記憶のスイッチは、みなさんの記憶のスイッチとは違います。たとえば私が「祖母の家の香りが好き」といったところで、みなさんの頭の中に浮かぶおばあさんの家の香りは、それぞれ違いますよね。

つまり香りを意味づけするのは、個人の体験だったり歴史だったりするのです。なので、私からは香り自体に意味を与えません。むしろここでのテーマを、「ふだん使わないような嗅覚の使い方」に設定しました。

「あれ、じぶんの嗅覚って、こんなことができるんだ」「匂いを嗅ぐのって、こんなに疲れるのか!」と思ってもらえるような展示を目指しています。もっと言うと、人間社会で忘れ去られている「嗅覚の空間指向性」を探っていきたい。人間も犬のようにクンクンして空間をナビゲートできるということを、体感してもらいたい。

現代社会では、公共の場でクンクン嗅ぎ回ったり、匂いについて公言する事は、マナーに反することとされています。ここではそんなタブーを破り、皆さんの体験を好きなだけシェアしてください。

■制作の経緯

私はここ数年、「動き(movement)」と「嗅覚体験(olfactory experience)」をキーワードに、嗅覚の空間指向性を様々な方法で探っています。自分から動くことで知覚し、発見することの歓びは、そこに鎮座しているものを鑑賞するのとは全く違います。世界の嗅覚アート(olfactory art)のシーンにおいても(小さなシーンではありますが)、このテーマを探求する作家は他にほとんどいません。

嗅覚のための迷路は、数年前から作ってみたいと思っていました。「迷路」といったときに、それこそ屋外で大規模にやったり、ベニヤ板で建築的に作ったり、センサー仕掛けにしたり、といろんな作り方があると思います。まずは低コストで屋内で、フレキシブルな実験装置として試作する機会と捉えながら、今回の制作に挑みました。

もとはプラスチックな透明のボールに穴をあけ、そこから香りが漏れるような仕組みにしたかったのですが(ビジュアル的な理由で)、それでは焦点距離が短かすぎるので、悩みました。そこで様々な工夫を重ねた上で、現在の形態に行き着きました。このように、香りの微細なグラデーションさえ感じ取れるような、空間の解像度を上げる努力は、細部に渡ります。

香料も「この空間に相性の良いもの」つまり、「香りの解像度」の観点から選びました。信頼を寄せる山本香料株式会社さんより、彼らの得意とする天然系の香料を提供していただいてます。私の展覧会に際しては断続的に香料の提供をして下さる、大切なパートナーです。

いつものことですが、展示空間においては極力、視覚的・聴覚的要素や、説明的なテキストを排除しています。香り自身がみなさんの深い身体感覚に語りかけ、イメージを生み、音を奏でる。香りにはそのようなパワーがあると信じています。

Maki UEDA
www.ueda.nl

香料提供:
山本香料株式会社
Yamamoto Perfumery Co., Ltd.
http://www.ypcyy.co.jp/

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2013年9月11日(水)~29日(日)水–日 14:00~21:00 / 月祝 12:00~18:00(火曜休)

アツコバルー(渋谷Bunkamura隣)

¥500(1drink付)
アーティスト:Maki UEDA/新津保建秀/山川冬樹
キュレーター:四方幸子

[Event]
9/11(水)19:00~21:00
レセプション・パーティ *終日エントランスフリー



9/14(土)17:00~19:00
Maki UEDAワークショップ
「犬のように空間を探る」vol.2
15名限定(¥1,500/メールにて要予約: ab@l-amusee.com )

犬のように空間を探る vol.2〜嗅覚と空間認識〜
人間の鼻には意味なくふたつの穴があるわけではありません。右に左に移動しながらクンクンすると、意外に空間内の「匂いのモト」を探知することができるんです。このWSではこのような「嗅覚のステレオ体験」をしていただきます。*香水はつけてこないで下さいね!*満腹の状態でのご参加はご遠慮ください。(嗅覚が働きません)


9/21(土)17:00~19:00
トーク:山川冬樹+港千尋(写真家)(¥1,000)

9/28(土)17:00~19:00
トーク:新津保建秀+瀬戸なつき(映画監督)(¥1,000)




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