El Bulli 〜世界一予約のとれないレストラン〜

世界中のシェフに多大な影響を与える、フェラン・アドリアとそのレストラン、El Bulli のドキュメンタリー映画です。




映画『エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン』公式サイト




嗅覚が私の領域ですが、味覚もご近所さんなので、このレストランの動向は見守ってきました。しかし料理のライブ感やスタッフの緊張感は、本ではなかなか伝わりませんね。この映画はそれを写実的に伝えてくれます。


フェラン・アドリアが、蛍光色に光るキャンディを舐める暗闇シーンで幕が開きます。(この蛍光原材料が「日本の魚」から作られるらしいのですが、いったいなんでしょうね。)


「客がうちのレストランに求めるのは、オドロキだ! 楽しさだ! 味はその次。」と、何度もスタッフに伝えるフェラン・アドリア。情熱的で、お茶目で、憎めないキャラです。


このレストランは、バルセロナから車で2時間ほどの美しい海辺にあります。1年の半分のみオープンしており、残り半分をメニュー開発の R&Dに費やすのが El Bulli スタイル。




El Bulli 営業時には50人以上のシェフがいますが、ブレーンはほんの3人。「その他大勢」のシェフ達は、そのシーズンだけ雇われた見習いシェフがほとんど。

メニュー開発をするのは、まさにこのブレーンの3人。お互いにアイディアを出し合い、素材を検証し、メニューを開発していきます。その結果に対して、「むしろこの素材の方が良い」などのアイディアを出したり、批評したり、ダメ出ししたり、そういうプロデューサー的な立場に立つのが、フェラン・アドリア。




映画を見てわかったことなのですが、開発の鍵を握っているツールが、なんとPC。たとえば、テーマが「柿」だとします。「質感はドライ・トマトみたい」「中に種が入っている」などなど、写真付きで、スタッフが観察レポートを作っていきます。そして、「パルメザン・チーズと組み合わせると、良かった」「ソースを作ってみた」などの、ちょっとしたアレンジの結果なども同時に残しておく。


スタッフがこの記録を無くしてしまった事件がありました。紙にはプリントしていたので、ハードコピーは守られている、というのがスタッフの主張でしたが、フェランは怒鳴りました。「紙では意味がない!」いかにプロセスのデータ化を大事にしているかがうかがえます。膨大な量の実験記録を残しておけば、あとからいつでも検索でき、適宜修正し、応用できるからです。それは、科学者のマインドに近い。


「オドロキを提供するには、テクノロジーは必要。でも、いつもというわけではない」「その料理の、コンセプトは何だ?」といった言葉は、彼がいかに料理をメッセージを運ぶものとして捉えているかを物語ります。それは、アーティストのマインドに近い。


フェラン・アドリアは、料理を芸術のレベルまで高めた人、ともいえるでしょうか。あのドイツのカッセル・ドクメンタにも招聘されたというのですから。「味覚や触覚は芸術の対象になりえない」と唱えたのは、18世紀のドイツ人思想家カント。そんなドイツにおける最高峰のアート・フェスティバルにおいて、フェランが料理をした。よく考えると、なかなかありえないことです。ひとつの新しい時代を作った人だと、私は思います。




関連リンク


elbulliのサイト
http://www.elbulli.com/


世界NO.1レストラント エル・ブリが完全閉店の本当の理由
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20110526/1035903/


ライフバランスを見直したい
休業を発表した「エル・ブリ」シェフ、フェラン・アドリア氏



m-takaのエルブジ体験記
http://www3.big.or.jp/~m-taka/jyoho/fs3.htm



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