五感のための昼食会 WS ご報告

五感のための昼食会
- LUNCH FOR MUTED SENSES -

日時:8月4日
場所:東京高輪、プリンツヒェン・ガルテン内 レストラン ザ・テラス高輪
主催:NPO法人 ニューロクリアティブ研究会

私たちはふだん、何気なくご飯を頂いていますが、匂いを嗅いでは食欲をそそられ、料理の盛りつけ を見ては感嘆し、コリコリした食感に唸るなど、全五感をフル回転させて「味わう」ことを体験して います。食べるということは、味覚だけでなく、五感(あるいはもっと多くの感覚)で楽しむ行為な のです。

「五感のための昼食会」は、ワークショップであり、フード・アートでもありつつ、その場がレスト ランでもあります。ひとつひとつの料理に添えられるのは、目隠しや耳栓など、感覚を消したり強調 したりするための小物。これで五感のどれかを鈍くしたり鋭くしたりして、「味わう」という行為を 再認識してもらいます。このランチを通して、未知の感性や感覚を発見できるかもしれません。


(主催者より ご挨拶)
第6回NCLセミナーのご案内

「創造する脳〜嗅覚の豊かな世界を味わう」


猛暑のなか皆様にはいかがお過ごしでしょうか。

さて、次回NCLセミナーは「嗅覚と匂い」の豊かな世界をお届けします。


「その紅茶とマドレーヌを口に運んだ瞬間、身震いするほどの強烈な感覚に おそわれた・・それは子どもの頃の記憶だった」は、匂いと記憶を文学的に 描いたプルーストの『失われた時を求めて』の一場面です。 なつかしい匂い、美しい匂い、おいしい匂い、不穏な匂い・・・・、誰にも 何気ない匂いによって、ふと遠い記憶や心の奥に眠っていた情景が鮮明に 呼び起こされたという経験があるのではないでしょうか。

今回は、この嗅覚の豊かな世界を命の本源ともいえる「食」からアプローチします。
嗅覚の意外な側面をちょっとした感動とともに再認識いただけたらと思います。

また、匂いをかいだとき、鼻や脳のなかでは何が起きているのだろうか・・・、
はたして、匂いとひらめきや創造性との関係はいかに・・・・・、 講演セッションでは不思議と謎に満ちた嗅覚の世界を科学からご案内します。

この体験が、あなたと嗅覚の付き合い方をきっと変えていくことでしょう。 皆さまのご参加を心よりお待ちいたしております。
NCL理事長 多根伸彦


●開催日時) 2010年8月4日(水) 12:15〜16:30
 (ワークショップが昼食を兼ねますのでお食事は召し上がらずにお越しください)
●開催場所) 高輪プリンツヒェンガルテン 【別添地図】
 東京都港区高輪4丁目24-40 http://www.minatoku-town.com/map/mn041644/
●参 加 費) 無 料
●プログラム)
1.嗅覚のワークショップ「Lunch For Muted Senses〜五感のための昼食会」
   
上田麻希 (オランダ在住。嗅覚・匂いのアーティスト)

2.講演「嗅覚の力を科学する」    
東原和成 (東京大学大学院 農学生命科学研究科応用生命化学専攻 教授)
————————————————————
NPO法人ニューロクリアティブ研究会 セミナー事務局 田村雅則
〒140-0001
東京都品川区北品川4丁目7番35号 御殿山トラストタワー9階 株式会社三城ホールディングス品川事務所内
TEL03-6408-8639  FAX03-6408-8642
e-mail:masanori.tamura [ at ] paris-miki.jp

URL:http://www.neurocreative.org/indexJ.php


(ワークショップ リポート)

予約申し込みが予想を上回る早さで埋まってしまい、当初は40人を予定していたところ、50人お受けすることになりました。ほとんどの方は、このNPOの会員の方です。この会のスポンサーは、眼鏡のパリミキの社長さんでして、脳科学と創造性の普及のために私財を投じてこの会の運営をされておられます。


では、実際にworkshopを覗いてみましょう。
まず1品目、entreeです。
タイトルは
「ファンデルヘイデ家の台所」。

最初にまず匂い紙を渡し、嗅いでいただきました。



ん?
何の匂いだろう?

上田:

「これは、あるスープの匂いなのです。スープを蒸留にかけて、芳香成分だけを取り出しました。このスープの材料は、リーキとジャガイモ、ブイヨン、クリームです。

私のオランダの義母は戦前の生まれで、彼女の台所を通して古き良き時代のオランダを垣間見る事が できます。私たちが遊びに行くと必ず待ち受けてくれている、美味しそうな台所の匂い・・・。彼女 はよくリーキ(西洋ネギ)を使ったこのスープを作ってくれます。

息子が3歳くらいの時、極端な野菜嫌いだったので すが、このスープだけは喜んで食していましたので、私たちはリーキのスープを「Oma Soep (= Grandma's Soup)」と呼ぶようになりました。私のオランダ生活とこのスープは切り離せません。匂いが記憶と感情と強く結びついているということ、 そして匂いは私たちに時間と空間を超えた体験をもたらしてくれることなどについて、私に強く意識させてくれるスープです。」

匂いを嗅いで食欲を刺激されてしまったみなさん。匂いだけでオシマイではさすがに可哀想ですので(笑)実際にスープも召し上がっていただきました。フランスではヴィシソワーズ・スープと呼ばれる、冷製スープです。



さて次はメイン・ディッシュ。みなさんに目隠しをしていただきました。





PIRAMIさんのセロを聞きながら、配膳を待ちます。





配膳の方が、ローズの花びらの散ったお皿にお湯をかけます。すると、空間にふわっと、ローズの香りが広がります。





真ん中の透明なお皿には、鶏肉を紅茶・シャルドネでスー・デ・ヴィにかけたものの上に、ブルー・チーズとラズベリーのソースがかけられています。

「ローズを使わずに、ローズの味を再現する」一品です。

参考サイト: www.foodpairing.be

この図は、ローズに含まれる上位 10 位までの香気成分を一目でわかるように表しています。ある研 究チームがあらゆる素材を分析し、共通する香気成分が見られた素材同士を線で結んだものです。 ローズの成分のひとつは、シャルドネなどの白ワイン・グループ(ローズから見て 0 時の方向)にも 共通する成分であったため、そのグループと線でつながれています。またひとつは、煮チキンやベー クド鴨肉(ローズから見て7時の方向)にも共通の成分であることが、線を辿るとわかります。ロー ズは、この図にある全ての素材と相性が良いと言われています。この「フード・ペアリング」という考え方は、ヨーロッパ発の新しいグ ルメ・トレンドである、モレキュラー・ガストロノミー(分子の調理法)でも主流となっています。








ザ・テラス高輪のチーフ・シェフ 堀岡徹也 さんにも何度も試作をしていただきながら、最終形にどり着いた一品です。東大の東原先生からは「なるほど、確かにローズのような味がする」というコメントをいただきました。

メインディッシュと並んで、アイス・ティーをサーブしました。このアイス・ティーには以下のフレーバーのアトマイザーを添えました。
・醤油
・オリーブ・オイル
・オレンジ・ジュース



さて、問題です。これをシュッと口にひと吹きしてもらってから、アイス・ティーをすすると、口の中で何が起きるでしょう・・・?
答え:意外に合う!
醤油と紅茶。一見関係なさそうですが、共通する香気成分が入ってるんですよ。その成分が、醤油と紅茶をブリッジしてくれるのです。


さて、デザートにうつりましょう。参加者の方に、目隠しと耳栓をしてもらいます。





こちらは堀岡シェフの自慢の一品、桃づくしのデザート。
桃があらゆる「食感」に変身して、このお皿に入っています。
・生の桃
・スライスしてオーブンにかけ、パリパリになった桃
・ジェリー状の桃
・シャーベット状の桃

この上からさらに、POP ROCK CANDY を振りかけました。口に含むとパチパチとはじける砂糖です。それがまた、耳栓をしていると、脳天に突き抜ける音がするのです。目も閉じているので真っ暗闇の中のパチパチ感。海の中にでもいるかのような感じがします。



東原先生から、おもしろいコメントをいただきました。「この POP ROCK CANDY にかかると、逆にこんどは味覚や嗅覚に意識がいかなくなる・・・つまり、味がしなくなりますね!」

休憩の後、東原先生のレクチャーです。workshopでのみなさんの体験と関連させた内容で、workshopにがっしりとした骨格を形成してくださいました。









何よりも、この会を実現してくださった多根社長に感謝の気持ちでいっぱいです。どうもありがとうございました。

コメント

人気の投稿