「オランダの匂い」というと何を思い浮かべますか?

1月に新作として「オランダの匂い」香水シリーズを発表します。
7種類の香水がミニ・ボトルに入ったセットとして、販売するのです。
肝心なのが、匂いのセレクション。

現在のアイディア
  • チーズ/kaas
  • スペキュラース/speculaas kruiden
  • 秋の落ち葉/herfstblaadjes
  • 芽キャベツを煮た時の匂い/gekookte spruitjes
  • マリワナ/hasj
  • 牧草を刈った時の匂い/gesneden gras
  • ヒヤシンス/hyacinth

他になにかいいアイディアありませんかね。

以前、別なブログに書いた「オランダの匂い」に関するテキスト、こちらにも引用しておきます。

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オランダの匂い

その国、その土地、その風土、
それぞれ固有な匂いがあると思います。
日本には確かに、豊かな匂いのランドスケープがあって、
「ああ日本人に生まれてよかった」とも思わせてくれますが、
きっとそれは日本に限ったことではないだろうと思うのです。

たとえば、オランダではどうでしょう・・・。

今の季節、春の匂いに充ちてますね。
(雹や雪が降ったり、ここ数日ちょっと変な天気が続いてますが。)
たとえばいち早く地面からニョキニョキ頭を出し始めたヒヤシンス
手を開くように花が咲くと、むせるような甘い香りがします。
そんなときにシトシトと生暖かい春の雨が降ると、
ふんわりとした淡い香りが辺りを覆います。
昨年、遊びにきてくれた日本人の幼なじみと、
「なんか春の雨のいい匂いがする・・・」と
バルコニーで鼻を澄ましたのは、たしか3月下旬でした。
オランダは東京と比べて冬が長いから、
待ち遠しい春はいっせいにやってきます。
春の匂いがこんなにもあらわなのは、そのせいかもしれません。

もうすぐすると、緑の匂いがしてくることでしょう。
たいてい私の誕生日のころ、5月上旬です。
それが木の新緑なのか牧草なのか雑草なのかはわからないけど、
やはり日本の春にはない匂いだと思います。

初夏になると、湖や沼に藻が大発生するので、
ムッとっするようなドロドロした水のニオイが、
ロッテルダムの街には充満します。
水道水がちょっと臭くなるのもこの頃です。

街中に Hollandse Nieuw のニシンのスタンドが立並び、
ちょっとあれ魚臭いなと思うのもこの頃。

短い夏も盛りを越えると、薔薇の香りも熟れてきます。
ヨーロッパは日本と違って、
薔薇が雑草のようにあちこちに繁殖するのです。

秋にはどっさりと葉が落ち、
プラタナスの枯れ葉の匂いが道を覆います。
枯れ葉が腐って土に還っていくそのサイクルが、
鼻で理解できるような匂い、といったらよいのか。

11月に入ると、やはり街中に並ぶ
olieballen(丸いドーナツ)のスタンドから、
拒み難い匂いがしてきます。

12月のシンタクラースの時期になるとよく口にする
Speculaasなどのお菓子類。
オランダらしいスパイスがきいてます。

スパイスといえば、やはり香辛料貿易の名残か
オランダの家庭料理にはかなり独特のフレーバーがあります。

よく使われる野菜のフェンケルの球根は、八角のような甘い香りがし、
よくサラダやスープ、オーブン料理に使われ、
葉は魚料理に、
種はハーブティに。

Knolselderij、Pastinaak や 白人参、根パセリなどの白い根菜類も、
フェンケルの根の類の香りのする野菜で、
オランダではかなり昔から食されているようです。

八角、シナモン、生姜、ナツメグ、クローブはよくお菓子に使われ、
アーモンドのフレーバーは bitterkoekje という
かなり独特な柔らかいクッキーに。

とくにナツメグは、茹でブロッコリーや茹で芽キャベツを
塩、胡椒、ナツメグだけで仕上げるほど、よく使われます。

日本人には最初、かなり抵抗のある dropje (黒い柔らかいグミ)
あれにはいったい何のスパイスが入ってるんでしょうね。
今となってはひとつ口に入れたら簡単には次を拒めないほどの大好物ですが、
オランダに来た当初、不味いオランダの食べ物ナンバーワンだと思ってました。
そういえばサルミニャックという種類のdropjeは納豆の味がし、
昆布の味がするdropjeもありますよね。
そう思うのは私だけでしょうか。

最近では、オランダの駅という駅に
AH(アルバート・ハイン)のスーパーが入ってて、
そこで焼くパンのいい香り、たまりません。
でもあれ、香料か何かの添加物のニオイなような気がします。
売上げを上げるために、かなり意識的に香りを使ってることは確かですね。
大型のAHに行くと、AH製のクッキー・ケーキ類が並んでるコーナーへ
バニラとバターの甘い香りが誘ってくれます。

あとオランダの匂いというと当然、
牛乳関係の匂いでしょうか。
牧場の香りは、風向きによっては、ときに堪え難いほど・・・。
しかしポルダー出身のオランダ人にとっては、
なくてはならない「故郷の匂い」のようですね。

オランダ人の体臭は、一概にいうと、
「肉とチーズのニオイ」。
いまでもこれには慣れず、時に閉口してしまうようなの、ありますね。
まあたいていの人は、男性も女性も、
香水をプンプンさせてくれていますから助かります。
ヨーロッパは日本より香水をつける人口が多いです。
服の洗剤にも、かなりきつい香料が入っています。
肉食文化であることとの相関関係がありそうです。

「日本人だって、醤油のニオイがするじゃないか」
といわれれば、何も言い返せませんけどね。

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