アムステルダムご報告 / Mediamatic

今やアムステルダムの嗅覚・味覚シーンになくてはならない存在、メディアマティック
実験的なアート、哲学の実践の場として、さまざまなイベントを企画してくれています。

Mediamatic は80年代にはメディア・アートの領域で世界的にも名が知れた団体だったのですが、最近になって「嗅覚・味覚カフェ」にシフト。「メディア系はもう我々のサポートは要らないが、これからの時代はきみたちがやってるような嗅覚文化の時代だよ」先見の明がある代表、ウィレム・フェルトホーフェンの言葉。

20年くらい前、まだ彼らがメディア・アートの出版社だった頃に、サロンでプレゼンしたことがあります。翻訳のバイトしたこともあったっけ。しばらくご縁がなかったのですが、一昨年あたりからでしょうか、嗅覚アーティストとして急にこの団体とふたたび関わり出したのは。

ひさびさのアムステルダムなので、連絡を取り、打ち合わせ。20年ぶりに会うことになります。ステキな再会。

お互い、やってることが完全に変わってるのに、こうしてふたたび関わることになるとは…。時代の新しいことに挑戦するという芯を曲げずに、フレキシブルに時代に反応した結果でしょう。

現在彼らは、ビオトープで水を浄化する施設 (Clean Lab) を作り、無料の水道とトイレをゲスト(ホームレス)に提供するというクールな試みを行いながら、市の補助をもらって生き続けています。


ステキなカフェが併設されています。ここでは「未来のディナー」がシリーズで提供されています。


今回提供されていたのは、「体の一部を食す」ディナー・コース。味わうアートとしてのディナーです。

なんと、採血した自分の血を味付けに利用したり、爪をファイリングして料理に振りかけたりと、なかなか挑戦的。

メディアではけっこうセンセーショナルに取り扱われていたようです。しかし、流石のわたしも挑戦は見送りました…アテンド中でもあったので。

ここには蒸留機などの実験室も装備されています。かなり早い時期からわたしは蒸留をアートに取り入れていることが知られているので、もしかしたらわたしがやっていたことに影響受けたのかも? 次の授業で、使ってもいいよとのことでした。

メディアマティックにて、嗅覚イベントがありました。Odorama です。

親友でもあり、嗅覚系の芸術史専門のカロ・フェルベークが主に企画者であり、モデレーターです。2ヶ月に一度の頻度です。

3〜4人のプレゼンテーターが「車の匂い」「嗅覚のゲーム」など、テーマに沿ったプレゼンをします。

アートに限らず、サイエンス、医療、パフューマリーなどの分野からも人選。過去には「嗅覚のゲーム」のコンテンツをわたしが提供しています。

少しだけTEDみたいな感じですかね。プレゼンテーター同士の意見交換や、質疑応答がない。モデレーターによる質問はあります。



観客によるインターラプションがないので、とてもプロなキュッとした仕上がり。ワイン片手に落ち着いて観れる大人番組みたいな。

質疑応答って、良いところもありますが、わたしはあまり好きではありません。的を外した質問が来てもプレゼンテーターはうまく答えないといけないし、モデレーターもかわさないといけないし。

ともすれば質問者が自分のことしか語らないこともあり。大概の内容は、終わったあとにワイン片手に交わせばいい内容なのです。

この回のテーマは、あまり興味がなく忘れてしまいました…ひどいなぁ、わたし。
あ、「宗教の香り」だ、確か。宗教といった時、彼らはキリスト教しか語ってなかったので、なんか腑に落ちなくて、つい忘れてしまったんでしょうね。

でも、食事はよく覚えてます笑。会場の後ろの方に20席ほどのスペースがあり、予約してディナーをいただくことができるのです。

この日はわたし自身の発表が別会場であり、とても忙しい日だったので、このシステムはありがたかった。
















プレゼンテーション聞きながらワイン片手にディナー。悪くないです。しかも北海のまるまる太った生牡蠣と、旬のホワイトアスパラ、withホランデーゼソース…! とても美味しかった😭


メディアマティックのビオトープが提供する道端の「公衆トイレ」と水道を見ながら、帰路につきました。


















去年9月、アムステルダムの都市計画を市民に「香り」で問うプロジェクト Het Parfum に貢献したときの私の作品も、この目でみる(この鼻で嗅ぐ)ことができました。現在もまだ展示中です。

コメント