Open Sauces (FoAM晩餐会)
2008年11月22日(土)、ブリュッセルのFoAMにて、Open Sauces 晩餐会がめでたく催されました。テーマは open source と open sauces、味覚と嗅覚、食の流通や食料問題、食の未来などなど。(なんじゃこりゃ、ってかんじでしょう。)
風邪は良くなってませんでしたが、薬を飲んでじぶんに大丈夫と言い聞かせ(ほんとうはぜんぜん大丈夫じゃないのだけど)、息子を友人に預け、なんとかブリュセルまでカラダをひきずって行きました。
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ウェルカム・コクテイルの時間。
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席に着きます。私はこのテーブルに配置されたホスト役でもあります。本調子じゃないし大丈夫かなあ〜 と心配しましたが、自分への言い聞かせが利いて(?)アドレナリンでもでてきたのか、普通にパーティモードに。
ここから始まるのは12コースのディッシュ。12コースですよ! いままで多くて5コースまではいったことはあるが・・・。2コースごとにドリンクも変わります。ウェルカム・ドリンク、グラッパ、白ワイン2種、赤ワイン2種、シェリー、カルバドス・・・。
メニュー
http://lib.fo.am/open_sauces_menu
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これが確かもう3コース目。なんとも目に美しいサラダ。パルメザンと蜂蜜(右端)の組み合わせも素晴らしかった。
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カリフラワー&カリフラワー&カリフラワー。なにもここまでしなくても・・・というくらいいろんな形でプロセスされたカリフラワー。フェネグリーク風味。カカオとの組み合わせも絶妙。
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藻の寒天を床として発芽したスプラウト。黒胡麻せんべいとクレソン・ゼリー添え。ぜんぶ食べ物です。(ねんのため)
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すくうとこんな感じ・・・。無味。でもおもしろい触感。日本人の私はどうしてもこういうのをワサビ醤油でいただきたくなる(笑)でもそこに敢えて黒ごませんべいとクレソン・ゼリーを添えたシェフの心意気もわかる(黒ごませんべいは醤油風味だし、クレソンはワサビの風味を持つ)。
よーく味わうと、藻の寒天にほのかに「旨味」を感じる。12コースの中でもかなり印象に残るディッシュ。
そうそう、もうひとつの変わりディッシュに私の「グリーンピーズ&ミント・スープの香水」がある。
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このミストとともに、普通の液状のスープと寒天状に固めたスープも供されました。つまり気体・液体・固体の3つの状態のスープを味わってもらうという、味覚・嗅覚実験的なコースです。
このコースの乾杯担当は私。乾杯の話として述べたことを和訳すると・・・
”蓋を空けたままスー プを煮続けたらどうなるか?”
味の70パーセントは匂いだといいます。残り30パーセントは塩味・甘味・酸味・苦味・旨味や触感です。匂いは食べるときに鼻の穴から入ってきますが、噛んでるときに喉の奥から鼻の裏に昇って来ます。試しに口を開けたまま噛んでみてください。あまり味がしないでしょう。
さて、この香水瓶に入っている透明な液体は、蒸留されたスープです。蒸留器を使っ てスープを蒸留しました。匂いがぎゅっと詰まってます。スープを煮たとき蓋に滴る透明な液体を集めた、ともいいかえることができます。匂い紙にスプレーして匂いを嗅ぐか、直接口にスプレーしてください。蓋を空けたままスー プを煮続けたら、スープのいいにおいを室内にまき散らすだけで、味はスープに残らないのでご注意を。乾杯!
このような乾杯の話が各コースディッシュに関連づけられてメニューが組まれています。
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チコリのコーヒー煮。チコリは白い野菜とされているため、日光に当たって緑にならないないように細心の注意が払われるこの野菜が、なんとまあこんなにも真っ黒に・・・(笑)
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これはもういくつめのコースだったか・・・このあたりになると、だんだんお腹がいっぱいになり、味わうどころではなくなる。
座って食べ続けなければいけないもの一種の拷問のようなものだなあ、と思いめぐらす。そういえばフランスの貴族は昔、お腹がいっぱいになったら迷わず指を口に突っ込んで胃の中のものを吐いたとか。こうして胃を空っぽにし直して、1日中食べ続けたという。貴族にちょっと同情する。
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一口味見して、ほとんどを食べ残した皿が何皿続いたことか。同テーブルのアメリカ人はさすが鍛えられていると見て、完食の連続・・・。
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ようやく辿り着いたデザート。なぜか素直に嬉しかった。カルバドスでめでたく締め。
やはりモレキュラー・ガストロノミーをベースにしているだけあって、全体的にフランス料理系のコース。しかも12コースとは、ちょっと私の胃には重たく、「あ〜 一杯の蕎麦もいいもんだなあ〜」としみじみ思ったものでした。
イベントとしては大成功だったと思います。どれも美味しかったし、雰囲気も良かったですもの。少し手厳しく批評するとしたら、アートとしてのステートメントなど、メタのレベルに欠ける。西洋式のフォーマルなプロトコルに沿うことに丁寧すぎて、普通のレストランみたいでつまらない。もっと驚かせてもらえることと期待していたのだが。たとえば日本の鍋のようにテーブルの上で必然的にコミュニケーションが起こるような料理などの、ゲーム的要素の入ったディッシュがあっても良かったかと・・・。まあでも、どんなにエスニックなレストランでも普通にフォークとナイフが出て来て、コース形式のメニューが出て来るのがヨーロッパだから、ヨーロッパにおいてこの「型」を外すのはそんなに容易なことではないのかもしれない。
何よりも、数年かけてこれを企画し、細部まで丁寧にデザインし、料理しきったfoamに拍手!
風邪は良くなってませんでしたが、薬を飲んでじぶんに大丈夫と言い聞かせ(ほんとうはぜんぜん大丈夫じゃないのだけど)、息子を友人に預け、なんとかブリュセルまでカラダをひきずって行きました。
ウェルカム・コクテイルの時間。
席に着きます。私はこのテーブルに配置されたホスト役でもあります。本調子じゃないし大丈夫かなあ〜 と心配しましたが、自分への言い聞かせが利いて(?)アドレナリンでもでてきたのか、普通にパーティモードに。
ここから始まるのは12コースのディッシュ。12コースですよ! いままで多くて5コースまではいったことはあるが・・・。2コースごとにドリンクも変わります。ウェルカム・ドリンク、グラッパ、白ワイン2種、赤ワイン2種、シェリー、カルバドス・・・。
メニュー
http://lib.fo.am/open_sauces_menu
これが確かもう3コース目。なんとも目に美しいサラダ。パルメザンと蜂蜜(右端)の組み合わせも素晴らしかった。
カリフラワー&カリフラワー&カリフラワー。なにもここまでしなくても・・・というくらいいろんな形でプロセスされたカリフラワー。フェネグリーク風味。カカオとの組み合わせも絶妙。
藻の寒天を床として発芽したスプラウト。黒胡麻せんべいとクレソン・ゼリー添え。ぜんぶ食べ物です。(ねんのため)
すくうとこんな感じ・・・。無味。でもおもしろい触感。日本人の私はどうしてもこういうのをワサビ醤油でいただきたくなる(笑)でもそこに敢えて黒ごませんべいとクレソン・ゼリーを添えたシェフの心意気もわかる(黒ごませんべいは醤油風味だし、クレソンはワサビの風味を持つ)。
よーく味わうと、藻の寒天にほのかに「旨味」を感じる。12コースの中でもかなり印象に残るディッシュ。
そうそう、もうひとつの変わりディッシュに私の「グリーンピーズ&ミント・スープの香水」がある。
このミストとともに、普通の液状のスープと寒天状に固めたスープも供されました。つまり気体・液体・固体の3つの状態のスープを味わってもらうという、味覚・嗅覚実験的なコースです。
このコースの乾杯担当は私。乾杯の話として述べたことを和訳すると・・・
”蓋を空けたままスー プを煮続けたらどうなるか?”
味の70パーセントは匂いだといいます。残り30パーセントは塩味・甘味・酸味・苦味・旨味や触感です。匂いは食べるときに鼻の穴から入ってきますが、噛んでるときに喉の奥から鼻の裏に昇って来ます。試しに口を開けたまま噛んでみてください。あまり味がしないでしょう。
さて、この香水瓶に入っている透明な液体は、蒸留されたスープです。蒸留器を使っ てスープを蒸留しました。匂いがぎゅっと詰まってます。スープを煮たとき蓋に滴る透明な液体を集めた、ともいいかえることができます。匂い紙にスプレーして匂いを嗅ぐか、直接口にスプレーしてください。蓋を空けたままスー プを煮続けたら、スープのいいにおいを室内にまき散らすだけで、味はスープに残らないのでご注意を。乾杯!
このような乾杯の話が各コースディッシュに関連づけられてメニューが組まれています。
チコリのコーヒー煮。チコリは白い野菜とされているため、日光に当たって緑にならないないように細心の注意が払われるこの野菜が、なんとまあこんなにも真っ黒に・・・(笑)
これはもういくつめのコースだったか・・・このあたりになると、だんだんお腹がいっぱいになり、味わうどころではなくなる。
座って食べ続けなければいけないもの一種の拷問のようなものだなあ、と思いめぐらす。そういえばフランスの貴族は昔、お腹がいっぱいになったら迷わず指を口に突っ込んで胃の中のものを吐いたとか。こうして胃を空っぽにし直して、1日中食べ続けたという。貴族にちょっと同情する。
一口味見して、ほとんどを食べ残した皿が何皿続いたことか。同テーブルのアメリカ人はさすが鍛えられていると見て、完食の連続・・・。
ようやく辿り着いたデザート。なぜか素直に嬉しかった。カルバドスでめでたく締め。
やはりモレキュラー・ガストロノミーをベースにしているだけあって、全体的にフランス料理系のコース。しかも12コースとは、ちょっと私の胃には重たく、「あ〜 一杯の蕎麦もいいもんだなあ〜」としみじみ思ったものでした。
イベントとしては大成功だったと思います。どれも美味しかったし、雰囲気も良かったですもの。少し手厳しく批評するとしたら、アートとしてのステートメントなど、メタのレベルに欠ける。西洋式のフォーマルなプロトコルに沿うことに丁寧すぎて、普通のレストランみたいでつまらない。もっと驚かせてもらえることと期待していたのだが。たとえば日本の鍋のようにテーブルの上で必然的にコミュニケーションが起こるような料理などの、ゲーム的要素の入ったディッシュがあっても良かったかと・・・。まあでも、どんなにエスニックなレストランでも普通にフォークとナイフが出て来て、コース形式のメニューが出て来るのがヨーロッパだから、ヨーロッパにおいてこの「型」を外すのはそんなに容易なことではないのかもしれない。
何よりも、数年かけてこれを企画し、細部まで丁寧にデザインし、料理しきったfoamに拍手!
コメント
FoAMの試みは面白いですね。これからちょくちょくチェックしたいと思います。まきさんは、オランダで香り弁当屋でもやってはいかがでしょうか?ふふ
私のブログの紹介、ありがとうございます。
FoAMは多領域に手を伸ばしてるのでなかなか全体像がつかめないフシギに魅力的な団体です。また行くことがあったらご一緒しませう。
このまえの日本人バザーで2冊お弁当作りの本買っちゃった(笑)