嗅覚のための迷路 ver. 9 〜追風の再現〜
作品について: これは1000年前に書かれた日本の恋愛小説、源氏物語の「蛍」の章において、蛍の宮が姫君に恋に落ちる瞬間をステージの設定としています。御簾で視覚的に遮られた部屋の中から、優雅な香りが風に乗って流れてくると、蛍の宮は恋に落ちてしまいます。その時の蛍の宮を擬似体験するためのインスタレーションです。実はその優雅な香りは、義父ながら姫君に言い寄っている源氏のものでした。 風に乗って流れてくる香りのことを、「追風」といい、貴族たちは記号的な情報源として社交に活用していました。この言葉は、現代の私たちの感性への挑戦状といえましょう。 匂い:外側から中へ入っていくと - 5月の雨(五月雨) - 庭に咲く橘の花 - 端午の節句の、邪気のための蓬と菖蒲 - 同様の薬玉 - 薫物(季節の香り) - 源氏の衣装の香り(姫君の義父) - 姫君の衣装の香り ーーー Ether: Aromatic Mythologies at Craft Contemporary May 30 - September 7, 2025 Learn more Presenting work that seeks to explore how scent can impact systems of meaning in relation to the inexplicable, the historical, or the unknown.

