「白い闇」コンセプト


白い闇
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「白い闇」に向けて              
ヨコミゾマコト

この展覧会では、私が憧憬する無限に広がる境界のない空間をつ くってみたいと考えています。そもそも有限なこの地球上に、無限に 広がる空間をつくり出すなど土台無理な話です。しかし、物理的には不可能でも、人の持つ感性と想像力に頼れば可能かもしれません。そこで、嗅覚のアーティスト MAKI UEDA さんに参加して頂く ことにしました。形によって空間と時間をデザインする建築家と、形 がないもので空間と時間をデザインする嗅覚のアーティストとのコラ ボレーションです。

想定されるのは、白いだけのまったく何もない空間です。しかしそこ は、とても静かで豊かな空間です。嗅覚と聴覚が研ぎすまされます。 視覚は役に立たないからです。匂いは日常に溢れているものながら、 未解明の部分が多いようです。嗅覚は、視覚や聴覚に比べて、原始 的かつ直感的であり、記憶に直結しているとも言われています。その 嗅覚に刺激を与えることで、人のもつ無限の感性と想像力を活性化 させたいと考えています。




インスタレーションを楽しんでいただくために
MAKI UEDA

みずからを匂いに委ね、嗅覚を頼りに空間を歩いてみてください。匂 いが空間をナビゲートしてくれます。普段は主に視覚が使われます が、この空間では嗅覚が主役です。

独りで入っている時は、目をつむり、手探りしてもよいでしょう。つま ずくモノもありません。たとえば犬のように、四つん這いになって右に 左にクンクンするのはどうでしょう。

この空間には、三つの匂いを使って、目には見えない「立体画」を描 きました。あたかもRGB(赤緑青)の三原色がモニター上で鮮やか な映像を映し出すかのように。この空間は、匂いの色彩で満たされ ています。どことして同じ色は存在しません。

香り自体に意味はありません。そこに意味づけを与えるのは、みなさ んの経験や体験です。香りはすべて、ニュートラル。主役は、みなさん の「嗅覚の可能性」です。




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